どうやって小説を書くのか?
──400字ほどの短い文章でもハードルが高いというコンピュータに、どうやって文学賞応募を満たす短編小説を書かせたのですか。
そもそもコンピュータは、単に入力された情報から出力を作り出す機械。汎用的な文章生成は今のところまったくできません。
小説を書くのに現在可能な方法は雛形による文章生成です。文章の目的、読み手、状況、スタイルなどもろもろ決めておけば文章の雛形が定まる。1本の小説を言葉単位で細かく分解し、冒頭の文はその日の天気、2番目に場面説明、3番目に主人公の様子など文の構造をすべて仕込んで雛形を作る。雛形をたくさん作れば組み合わせで文章ができる。
Siriの一問一答と違って、人間の対話はキャッチボール。小説だと、次に続く文との関係が非常に緩やかでありつつ、まったく無関係でもない。「だけ」「こそ」「さえ」「しか」などの助詞1つでニュアンスが変わってしまう。だから難しい。
──それに小説では、「ところで、」と飛躍したりもしますしね。
そうそう、何でもあり。でも1文ごとにワープしてたら小説にならないわけで。どんな条件を満たせば小説になって、どんな条件を満たさないと小説にならないのか、その線引きがコンピュータには全然わかりません。だから自動で小説を作ることなどまだまだ全然……。
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