日本人がロシアに勝手に抱く「6つの誤解」 プーチン大統領は当然のことをしていただけ

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今回の日露ビジネス対話に参加した関係者は多かったが、実は普段からの実績がまったくないか、少ない参加者が多かったように見えた。ビジネス対話で登壇した企業は、日本政府から事実上の資金援助を約束されている大企業だけである。普通の民間企業が政府に要請しても、資金はおろか、貿易保険も下りないのである。

しかも、日本人は熱しやすく冷めやすい。領土問題は難しいことは承知しているが、この際、長期的に本気でロシアと協力関係を継続するべきである。民間企業がリスクをものともせずに本気になれば、日露協力は必ず成功すると考えている。

私自身でいうと、旧ソ連時代からこれまでロシアとのビジネスは30年近くになる。ほとんど誰の助けも借りずに現場主義でビジネスをやってきた。私の経験で判断すれば、今回のプーチン大統領の対応は昔のロシアスタイルのままで、特段何ら悪気もなければ、日本人を馬鹿にしたわけでもない。外交とビジネスは違うというかもしれないが、そうでもない。彼らは、当たり前に外交の常道に従ってやってきただけだと私は思う。要は、日本側が勘違いして、ロシア側の変化球だと勝手に思い込んでいるだけである。

日本人ビジネスマンが陥りやすい「6つの誤解」とは?

では、具体的に日本人はロシアに対して、どんな誤解をしているのだろうか。実は、私は、ビジネスの世界でこれまで嫌と言うほどロシアに対して思い違いと失敗をしてきた経験があるので、その経験をもとに話してみたい。大きく分けると日露ビジネスの交渉において、日本人の誤解は6分類される。

(1)覚書に署名したら、日本人は「問題は前進する」と考える。だが、ロシア人は「全ての協議が終了し拘束力のある条約が発効した時が最終合意案である」と考える。

(2)日本人には、日本の法制度もロシアの法制度も「さすがに同じではないものの、大きくは変わらないのではないか」という漠然とした期待がある。一方、ロシア人は「ロシアの法制度が中心だ」と考えており、日本的な法制度は基本的に認めていない。

(3)日本人は、契約書の言語は英語版(あるいは翻訳後の日本語版)が原本であり、ロシア文は参照用の翻訳であると信じている。一方、ロシア人は、ロシア語版と英語版の両方を原本とし、もし両者に不一致がある場合は仲裁裁定で決定させると考える(両政府の条約などの場合は、当然ながら両言語に不一致は存在しないことが大前提である)。

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