就活で狙える、西日本の地元優良企業とは? 大阪のほか、北陸引っ張る石川、ITに強い鳥取

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たとえ新卒では採用できなくても、「あの会社、一生懸命だったな」「あの人、いい人だったな」という印象が残せていれば、将来、その学生が中途入社をしてくれる可能性があるかもしれません。そうした面からも、学生ひとりひとりとの接点を大事にして、非常にていねいな採用活動をしている企業は少なくないのです。

私が担当している地域においても、それぞれ、顕著な動きが見られています。

四国から大阪に学生が流れている

まず北陸・甲信越地方。北陸新幹線の開通によって、富山・石川・福井県ともに、観光客が増え、活性化しています。

中でも石川県の牽引力が増し、人の動きが変わった影響で、富山県の企業の危機感が募っています。富山県は北陸でナンバーワンを目指すという地元密着の企業が多く、地方銀行など採用者の7~8割はUターン就職なので、彼らが石川県に流出することを憂慮しています。

また、日本国内で「幸福度」ナンバーワンである福井県の場合(日本総合研究所『幸福度ランキング2016年版』)、スモールサイズながらも「幸福」が実現できている自治体として名を挙げているのに、人材の流出を防げていません。

新卒の学生には幸福度が具体的にイメージしにくいようです。優良企業、とりわけ魅力的なメーカーが多い福井県だけに、この地方での働き方を学生に知ってもらうのが課題です。

一方、中国地方は、地域内就職をする学生の割合が極めて低い地域なので、岡山や広島県の企業には、地域外の学生を採用しようとする傾向が見られます。鳥取県の企業にも危機感が強いのですが、IT企業が鳥取県での国内オフショア開発に力を入れ始めている話も、耳にします。

情報システムやソフトウエアの開発業務を鳥取県の企業が受注することで、雇用を生み、人材を定着させるのが狙いであり、ITインフラが整備された今だからこそ、新しい動きだと言えるでしょう。

四国地方も北陸地方と同様、「知名度は高くはないが、この技術では世界トップクラス」という企業が多いのですが、やはりそういう魅力が学生に知られていないのか、多くの学生が他地域に流出してしまっています。特に香川県からの流出が多いのは、大阪へのアクセスが容易で、大阪での就活が行いやすいことが要因のひとつと考えられます。

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