就職先の決まった学生が多いことから就職活動する学生も減り、採用者数が予定した枠に届かない企業の中には、あきらめムードも漂っています。Uターン就職で戻ってくる学生も例年より減少しており、特に、中堅・中小企業になるとその傾向は顕著です。
それでも、各地域を支える企業の採用意欲は決して、衰えてはいません。たとえば福岡県福岡市。2014年に国家戦略特区の「創業特区」に指定されたことで、ベンチャー企業が増加し、各企業とも新卒人材の採用には非常に意欲的です。
また地方の大手企業も、人口が減少していく将来を見据え、今、優秀な学生を一定数確保しておくことが事業の将来に必ずつながる、と考えています。それだけに、両者とも優秀な学生を採用しにくいことに対して、非常に危機感を抱いています。
一方、学生はというと、そうした意欲的な地元企業の存在を知らずにいる、というのが実情です。企業側も、自社説明会を開く、合同説明会に参加する、などのPR活動を積極的に行っていないところが多く、自社や地域の魅力を学生に十分に伝えきれていないからでしょう。
就活期間が短くなっている昨今は、特に、地元にも魅力的な企業があることを知らないため、「地元で就職する」という選択肢を持てないままに卒業後の進路を決めているのが、多くの地方の学生の現実なのです。
説明会と面接で深いコミュニケーション
地方の企業の中には、学生の地域外流出を防ぐために、就職サイトに露出する機会を増やしたり、大学内で開かれる合同説明会に参画したりと、より一層広報活動に力を入れているところもあります。
加えてここのところ顕著なのは、説明会の場で学生との接点を持ってから、それ以降の面接・最終面接といった選考プロセスで、学生とのコミュニケーションにかなりの時間を割くよう努めていることです。
どんなにがんばって学生を集めても、優秀であればあるほど、首都圏や京阪神地方の企業も含めて、彼らを求める企業も多く、内定を出しても辞退される場合が多々あります。
それでも採用担当者の多くは、決して強引に自社に誘導したりしません。「どの企業が本当に自分の能力や志向に合うか考えて決めたほうがいい」と、中立的な立場からアドバイスをすることで、社会に出るための覚悟を持たせるように対応しています。
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