松下幸之助は人口急減への対策を考えていた 経営の神様が考えた200年計画とは?

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そうするとやな、山を削って開発整備することによって、国土面積の20%に当たる、7万5000平方キロの有効可住国土が新たにできることになる。そのうえにやね、海を活用することによって、多分、それにだいたい同じぐらいの広さの土地ができる。とすれば、なんと合わせて15万平方キロになるわね。

現在のやな、有効可住国土面積が11万平方キロやから、いまよりも30%も大きい有効可住国土が新たに生まれてくるわけや。いわば国土が倍以上になる。ここから生まれてくる効果ははかりしれないものがあるわな。こういうことを日本は考えんといかん。

いまの若い政治家たちに実行してもらいたいこと

けど、この考え方を5年や10年でやろうということやないで。そんなに簡単にできるものではないわな。

自然の一部を変化させるわけやから、衆知を集めて十分に調査もせんといかんし、研究もせんといかん。まあ、計画立案までに25年はかけんといかんやろうね。それで全体としては200年かけて、取り組むと。そや。それぐらいかけんといかん。

きみの言うように、早くやったらいいということも考えられるけどな、これをやるときに犠牲を出したらあかんのや。そのためには二世紀という時間が必要やな。

十分に調査研究したと。だから大丈夫だとは必ずしも言えんわね。人間のやることである以上100%完全というわけにはいかん面がある。計画を実行していく過程で、予想もせんような問題が発見されるということも出てくる。そういうものは、もしこれが短時間で一気にやっていっておれば、気がついたときには手遅れで、取り返しがつかないということも出てくるわな。まあ、そうではなくてもそれを解消するのに非常に時間と費用がかかるということになる。

けど、200年もかければ、そういう問題に十分対処できる時間的ゆとりもあるわね。それにその問題を解決するたびに、その経験が後に生かせるからな。時とともにこの計画がスムーズに運び、好ましい成果がうまれることになるな。

税金も土地も将来日本にとって大きな問題になるよ。問題が起こるたびに、その折々の解決策をとっても、いつまでもくり返されるな。ただ単にくり返すだけならばええが、だんだんと事態は深刻になって、ついには日本は滅亡するということにもなりかねん。というのはな、この問題はただこの問題で終わるだけではなく、国民の心をむしばむようになるんやね。この2つの問題はいまのうちに根本的に考えて、抜本的解決策をとらんといかんな。だから、わしが言うような対応をせんといかんわけや。

しかも100年とか200年ということになれば、今後相当長期にわたって国民共通の一大目標にもなる。

まあ、このような考えの是非はともかく、われわれの後に続く世代をより好ましい姿にしていこうという夢と希望に満ちた、無税国家と国土創成に取り組むべきやと思う。わしはな、いまの若い政治家たちに、この考えをぜひ実行してもらいたいと思うんや。

江口 克彦 一般財団法人東アジア情勢研究会理事長、台北駐日経済文化代表処顧問

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えぐち かつひこ / Katsuhiko Eguchi

1940年名古屋市生まれ。愛知県立瑞陵高校、慶應義塾大学法学部政治学科卒。政治学士、経済博士(中央大学)。参議院議員、PHP総合研究所社長、松下電器産業株式会社理事、内閣官房道州制ビジョン懇談会座長など歴任。著書多数。故・松下幸之助氏の直弟子とも側近とも言われている。23年間、ほとんど毎日、毎晩、松下氏と語り合い、直接、指導を受けた松下幸之助思想の伝承者であり、継承者。松下氏の言葉を伝えるだけでなく、その心を伝える講演、著作は定評がある。現在も講演に執筆に精力的に活動。

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