メルカリがマネるGoogle採用の極意とは? 人事担当取締役・小泉文明氏に聞く<中編>

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――お話をうかがっているとすごくうまくいっているように感じますが、あえて課題を挙げるとすれば、何があるでしょうか。

リファラル採用の場合はイニシアチブが相手側にある、ということでしょうか。エージェント経由の場合は、候補者が転職活動をしているので、比較的すぐに働き出してもらえる状況にあります。でも、リファラル採用の場合は、その人は現在の職場のキーマンだったり、現職に満足していてまったく不満がなかったりする。こちらの事情で動いてもらうのは難しい状況です。

ですが、僕らとしては、その人が1年後にメルカリに入ってくれる、ということでもいいと思っています。もちろん、それほどに優秀な人であれば、ですが。希望としては、1年後でもいいから、転職しようと思ったときに、メルカリが候補の一番目であってほしい。

ただ、そうなると、採用計画が立てにくくなり、HRとしては非常につらい。その時間軸をコントロールできないことが、課題と言えば課題ですね。今すぐエンジニアを100人採用したい、といった活動は絶対にできないので。

――採用は時間がかかるものだと、割り切っておられると。

スピード重視でミスマッチが生じるような採用をしてしまうと、周辺にいる人が傷ついたり、モチベーションがなえたりもする。スピードは出ないかもしれませんが、新しいメンバーを正しく迎え入れていきたいと思っています。

メルカリの社員評価

――正しく迎え入れるためのポイントを教えてください。

「Go Bold」(大胆にやろう)、「All for One」(すべては成功のために)、「Be Professional」(プロフェッショナルであれ)の3つのバリューです。この3つのバリューに関連する9項目で、メルカリに欲しい人材かどうかをチェックしています。もちろん、定性的なコメントも活用しています。

入社しても3カ月に1回はバリューに対して評価をします。本当に、バリュー、バリュー、バリュー、という感じです。でもそのぐらいやらないと、経営陣の判断軸もぶれるし、社員も何が正しいのかがわからなくなってくるので、バリューに関連づけてすべてを設計することを大事にしています。

――採用後の育成や評価はどうされているのでしょうか?

メルカリでは、Googleも使っているOKR(目標と主要な成果)を採用していて、各社員は他の全社員のOKRを見ることができます。

――全社員を見られるんですか!?

誰がどんなOKRを設計したかまでは、見られるようにしています。各個人がどんなOKRを追いかけているかを見える化することで、業務の接続性というか、連動性が生まれるようにはしています。それに、先ほどお話したバリューの評価ですね。OKRの評価と、バリューの評価の2軸を使っています。

例えばバリューに沿っていない行動で数字が達成できてしまったケースがありますが、OKRだけではこれは評価されますが、バリュー評価では、評価されない。実際、僕たちは、そういう成果を賞賛しません。それを評価したら、おかしくなってしまうからです。

(撮影:今井 康一)

砂流 恵介 ライター

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すながれ けいすけ / Sunagare Keisuke

1983年広島県生まれ。秋葉原のPCショップ販売員を経て、日本エイサーにて宣伝・広報を担当。2014年1月に独立。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。アメリカザリガニ平井のゲーム実況番組「スーパーピコピコクラブ」のメインMC、元JUDY AND MARYのTAKUYAが中心になって結成した「商店街バンド」の広報、攻殻機動隊REALIZE PROJECT編集長のほか、各種ネットメディアでの記事を執筆している。

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