【産業天気図・ガラス・土石製品】ガラスは板ガラスの需要減速で「曇り」、セメントは「雨」が続行

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

予想天気(ガラス)
   08年4~9月  08年10月~09年3月

ガラス業界の2008年度前半は、ここ2~3年の板ガラス好況を牽引した欧州市場の減速が業界を直撃する。北米や国内市場も低迷が続いており、08年度前半の各社収益は一部を除いて前回(08年3月時点)の「曇り」が続行する。後半も回復の兆しは見えない。またセメント業界は、改正建築基準法改正の影響で停滞した前期の流れが引き続くうえに、燃料の石炭価格の高騰により、08年度前半は前回予想と同じ「雨」。後半も「雨」模様のままだ。

 国内の建築用ガラス市場は、昨年6月の改正建築基準法によるビル、マンション建設低迷の影響が、前期後半から深刻な影響を及ぼしている。もともと燃料高による価格転嫁が進まずに、単価が軟調だったところに需要減の追い打ちとなった。国内主力で07年度はガラス事業が赤字だったセントラル硝子<4044>は、08年度もガラス事業の赤字脱却は先送りになる。
 
 板ガラスの国内依存度が比較的少ない旭硝子<5201>や日本板硝子<5202>も前期まで建築用ガラス好況を満喫した欧州市場の需要がピークアウトしており、汎用品を中心に単価も徐々に下がっている。旭硝子は、今期(2008年12月期)欧州地域の営業利益は前期比3割減を想定している。08年1~3月期の欧州地域の営業利益も前年同期比29.5%減と予想通りに着地した。 

ただ旭硝子は、稼ぎ頭である液晶用ガラスを擁していることから板ガラス主力の日本板硝子、セントラル硝子の2社より業績見通しは明るい。08年度は夏頃に韓国で液晶用窯1基が動くほか、同年後半に兵庫・高砂工場にも新窯1基が稼働。シャープが大阪・堺に建設する液晶テレビ新工場に供給する世界最大の10Gと呼ばれる巨大ガラスを生産する予定だ。旭硝子の今期会社計画は、欧州の板ガラス減速や円高影響などから営業利益を前期比微増としているが、液晶用ガラスの牽引による、上振れの可能性が強まっている。ディスプレー用ガラス専業の日本電気硝子<5214>も、液晶用ガラス好調で、営業益は続伸の見通しだ。日本板硝子が欧州の減少と原燃料高により、今期営業利益予想を前期比3割減としているのとは対照的だ。

一方、セメント業界は建築基準法改正影響で冷え込んだマンションや住宅などの建築需要の回復待ちとなる。燃料となる石炭価格高騰が収益を大きく圧迫する。住友大阪セメント<5232>は石炭価格高騰分が経常益段階で100億円のコスト増になることから、同社を始めセメント各社は、これまで進まなかった値上げを取引先の生コンメーカーと精力的に推し進め、どうやら石炭高騰分の価格転嫁は可能となる見込みだ。しかし、セメント製造設備の法定耐用年数が短縮することから減価償却費用が膨れ、太平洋セメント<5233>は46億円、住友大阪セメントは26億円の営業益押し下げ要因になる。加えて北米依存度の高い太平洋セメントは、米国サブプライムローン問題に端を発した米国景気の後退、住宅需要の減少の影響をまともに受ける。両社とも営業減益予想だが、大平洋セメントの減益幅が大きいのはそのためだ。

【鶴見 昌憲記者】

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事