「選手視点の中継」というスポーツの大革命 仮想現実はスポーツをどう変えるか?

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ICTの活用でスポーツの世界はどう変わるのでしょうか(写真 :Graphs / PIXTA)
自宅にいながら、あたかも自分がプロ選手としてプレーしているような感覚で楽しめるスポーツ観戦、そして選手が効率的に競技レベルを上げることができるトレーニング。VR(仮想現実)をはじめとするICTの活用でスポーツの世界が変わりつつある。
ICT・メディア市場の5年後までを占う『ITナビゲーター2017年版』の筆者がスポーツの楽しみ方、トレーニング方法の近未来を展望する。 

スポーツ観戦のスタイルが変わる

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自宅でプロ野球を観戦するため、インターネット経由での放送を大画面テレビに映す。

マウンドには日本ハムファイターズの大谷翔平投手。カウントは1ボール2ストライク。決め球として投げたボールはストレート、結果は三振。スピードガンは日本最速記録を更新する165km/hを表示した。

そこで画面を止め、横にあるVRヘッドセットを装着する。

目を開けるとそこにはマウンドに立つ大谷投手が映る。しかし、先ほどテレビで見た映像とは違う。大谷投手はマウンドから鋭い目でこちらを見ている。目の前には手に握ったバットがあり、視線を横に移すと観客で埋まったスタンドが映る。マウンドの大谷選手に目を戻す。大谷投手が始動しその右腕を振ってボールを投げてくる。しかしボールは見えない。視線を移すと、そこにはキャッチャーミットに包まれたボールがあった。

手に持ったスマートフォンを操作し、映像を巻き戻して、大谷投手の165km/hを再び体験することを試みる。2度目の体験、投じられたボールが瞬く間にキャッチャーミットに吸い込まれる。

ヘッドセットを装着したまま、映像を切り替える。今度もマウンドに立つ大谷投手が映る。ただ、先ほどとは異なり、視点はかがんだ低い位置にあり、左横には打者が立っている。大谷投手が始動し右腕を振ると、恐ろしいスピードでボールが自分に向かってくる。思わずのけぞり、目を閉じる。一呼吸置き、ゆっくりと目を開けると、目の前にはキャッチャーミットとそれに収まったボールがある。

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