指示がシンプルで的確、わかりやすいことは、相手とのやり取りで最も重要なことです。日本人は、やんわりと遠回しに伝えることが多くあります。その結果、真意が伝わらなかったり、まったく違う解釈を相手に与えてしまうこともあります。
ストレートに言わずに、周辺の話題から触れていくのは、相手のことを思うがゆえ、ととらえられがちですが、実は「自分がどう見られているのか」という不安の強さにも比例しています。さらには、「察してほしい」という甘えもあるのです。
つまり、相手から評価されたい、嫌われたくないという思いが強ければ強いほど、相手の意向に沿おうとするため、やんわりと様子をうかがいながら相手とかかわることになります。
「できれば」「可能なら」は相手を混乱させる
その結果、こんな事態に発展することも。職場トラブルのきっかけとして多いのは、お願いごとをするときにどうしてもやって欲しいにもかかわらず、「できれば、でかまいません」「もし可能なら」という言葉を付け加えてしまうことです。相手に配慮して使っている言葉なのでしょうが、かえって相手を混乱させてしまいます。
「『できれば』でいいなら、忙しいからやらない」と判断する頼まれた側と、「どうしてもやって欲しい」依頼側で、最初から温度差が生じます。
依頼側は、自分が下手に出たにもかかわらず、相手にやってもらえなかったとしたら腹立たしく思うのですが、そもそも相手は、依頼側のどうしてもやって欲しいという気持ちを受け取っていないわけです。
このようなすれ違いを避けるために、「こうしたい」「こうしてほしい」という要求は、相手ができる・できないにかかわらず、相手にはっきりわかるような意思表示をする必要があるのです。わかりやすければ、相手とのズレが起こりにくく、スムーズなやり取りが可能に。その結果、信頼関係を築きやすくなるのです。
そのために必要なのが、適度な距離感です。近すぎると見えるものも見えなくなります。適度な距離を保つことによって、おのずと相手の全体像が見えてきます。
みくりは、大学院を卒業したにもかかわらず、就職に失敗。派遣社員として働くも「派遣切り」にあってしまいます。「だれかに必要とされたいけれど、うまくいかなくて」というせりふからは、みくりが誰かに必要とされたいという気持ちを強くもっていたことが切実にうかがえます。
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