知られざる「ハイエナファンド」の極悪非道

日本人が知らないし烈な国際金融バトル

熾烈な国際金融バトルが続発している(写真 :Jasastyle / PIXTA)
破綻国家から膨大なリターンをむしり取る「ハイエナファンド」。知られざる熾烈な国際金融バトルが続発しているという。『国家とハイエナ』を書いた黒木亮氏に詳しく聞いた。

 

──30作目である本書は得意の国際金融テーマに復帰しましたね。

本書に書いてあることは基本的にここ20年に現実に起きたことだ。国、企業、団体、政治家、著名アーティストなど、実名の箇所や社会的出来事の記述はすべて事実に沿っている。

ハイエナファンドとは

──ハイエナファンドなるものがあるのですか。

僕の造語。訴訟型のヘッジファンドとして特定感を出すためには、「ハゲタカ」より「ハイエナ」のほうがいいと判断した。ハゲタカの書名には先行書があって、二番煎じに受け取られかねない。

実際、このハイエナファンドは破綻国家の国債を二束三文で買いたたき、欧米で保有の正当性の勝訴判決に持ち込む。そして外貨準備やタンカー、人工衛星を差し押さえて、投資額の10倍から20倍のリターンをむしり取る。狙われた国家は、その強奪的金融手法に対して徹底抗戦しようとするが、自国の権力者たちの既得権益に群がる腐敗体質が手かせ足かせとなり、勝てない。合法的手段で骨の髄までしゃぶられる格好だ。

──モデルがあるのですか。

主役のサミュエル・ジェイコブスは米国の資産家ポール・シンガー氏がモデルの一人。ヘッジファンド運用会社のエリオット・マネジメントを率いていて、共和党のキングメーカーといわれている。ユダヤ系という設定なので、それに不自然でなく、性格にも合った名を採用した。

ペルーやコンゴ、ザンビア、カメルーン、ウガンダ、シエラレオネ、ギリシャなどむしり取られた国は多い。アルゼンチンとの「世紀のバトル」はこの4月についに決着した。アルゼンチンは政権交代が解決の追い風になった。この本でアルゼンチンの単独の章は90ページ近くになったが、格好の事例を提供してくれた。

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