日本株は、一時的に下落するかもしれない さすがに今のドル高には「過熱感」がある
短期的にはドル高に過熱感、日本株は調整局面か
前週(11月14日~18日)の日経平均株価は、週間ベースで592.62円上昇(+3.41%)した。
トランプ米次期大統領が誕生するアメリカでは、NYダウが史上最高値を更新しているが、上昇率はわずか+0.11%。欧州市場でも英FTSE100は+0.67%だが、独DAXは-0.03%とさえない。主だった先進国、新興国全てを見ても高いパフォーマンスを残しているのは日本のみだ。その背景にあるのはもちろんドル高円安である。「トランプ・ラリー」によって米10年債利回りが2.3%台まで上昇したことから、為替市場ではドルが主要通貨に対して強含む格好に。結局ドル円が110円台までドル高円安に加速したことから、日本株に投資資金が向かったというわけだ。
まさに日本株は為替次第でどうにでもなるといったところだろう。安倍首相、黒田日銀総裁からすると「渡りに船」のドル高円安推移だ。ただ、さすがに今週はドル独歩高が一巡し、日本株はいったん調整を迎えると筆者は推測する。ドル円の短期的な上昇に対する過熱感が背景にある。なお、筆者は中長期的なスタンスはドル高円安、日本株の上昇である。あくまでも短期的なスタンスとしての「上げ一服」という見方だ。
足元の日本株上昇の原動力となっているドル円相場だが、上げ幅は約10円(安値101円20銭から110円95銭)となっているほか、25日移動平均線との乖離率(以降の乖離率は全て25日移動平均線との乖離率を指す)は5.09%に達している。
乖離率が5%台まで開いたのは、2014年11月20日以来のことだ。このときは同年10月31日に実施された日銀による追加の金融緩和(ハロウィン緩和)によって、2014年11月3日から約2週間、乖離率が5%前後という猛烈なドル買い相場となった。
このときのドル円は、10月30日の109円20銭台から118円20銭台(11月20日)まで上昇。その後、25日移動平均線が追いついたことや、短期的な上昇に対する過熱感からドル・円の上げが一服したことから乖離率は低下した。ドル円は1週間ほど116-118円台でもみ合った後、再び上昇し121円50銭台(12月5日)まで買われた。
実は、2010年以降、乖離率が5%を超えたのはこの時だけである。アベノミクス相場スタート時でも4%台だったことを考慮すると、ドル円相場で乖離率が5%台に達するということは、それだけ稀な状況というわけだ。
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