デジタル役員なくして、企業に勝利なし 有力ヘッドハンターが明かす、米国生まれの新潮流

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

グロスマン 出版などのメディア企業では顧客にアナログで提供している商品、サービスそのものをデジタルに変化させなければならなくなっています。それ以外の企業では商品やサービス自体は変わらなくても、顧客との関係を変えていくために、それぞれデジタルの要素を総合的に組み込まなければならなくなっています。

クラウドやウエブマーケティングの観点から、企業変革をサポートするサービスを展開する企業も生まれている。たとえば、画像加工ソフト「フォトショップ(Photoshop)」、描画ツールソフト「イラストレーター」、クリエーター向けのソフトウエアで有名なアドビシステムズだ。
東洋経済オンラインが6月14日付で配信した「マーケティングもアドビに任せろ」は、IT系企業の変革とともに、小売り系やメディア企業がデジタルの要素をマーケティングを中心とした、具体的な経営戦略・活動に採り入れていく動きについて報じているので、併せてお読みいただきたい(関連記事はこちら)。

昔は企業側で独自にマーケティングして、商品を開発してお店に並べておけば、消費者が購入を決めていましたが、今はソーシャルメディアを通じて、消費者と直接つながり、商品開発に顧客の意見や要望、アイデアを採り入れることもできる。

音楽をビジネスにしている企業などの場合は、これまでCDを物理的に作ってお店で販売し、伝統的な手法でマーケティング活動をしていましたが、デジタルな要素によって顧客と直接の接点を持ち、マーケティングや販売の仕組みを変えるといったようなことが、想定されます。ブランドは守るものでしたが、オープンにすることも求められています。

――CDOに求められる能力やキャリアとは?

グロスマン たとえば、もともとはソフトウエアのエンジニア出身で、デジタルなプロダクト(製品やサービス)を作り、それをジェネラルマネジャー(日本企業でいえば部長級以上の役職)レベルで、実際にマネジメントした人が多い。もしくは、デジタルテクノロジーやデータ分析などの専門家出身。大事なのはモバイル、ソーシャルメディア、ビッグデータ、インターネットなどに詳しい人材でなければなりませんが、それを企業全体に広げていくので、リーダーシップも求められます。

ディズニーは伝統的なメディア企業でしたが、FacebookのCOOのシェリル・サンドバーグ氏を2010年から取締役に迎え入れました。これはラッセル・レイノルズがリクルートした事例です。CDOの候補になりえる人材は、相対的に見てIT系企業に多いですが、非IT系の一般企業、特に大手でデジタルソリューションを経験した人材がいれば、その人は価値が高い。

IT企業の人材は“引く手あまた”か

――IT・ネット系企業にいてCDOに足りうる人材が、一般的な消費財メーカーや小売り企業、メディア、エンタメ、金融サービス系の企業に移っていくこともありえるということですか。

グロスマン そうですね。実際に、IT・ネット系企業の人材が欲しいので探してほしいという依頼が、ラッセル・レイノルズには来ています。業界の境がこれからあいまいになっていくのかもしれません。

(撮影:尾形 文繁)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事