マーケティングもアドビに任せろ CEOが語る、“元”クリエーターソフト企業の新機軸

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画像加工ソフト「フォトショップ(Photoshop)」、描画ツールソフト「イラストレーター」、DTPのレイアウトソフト「インデザイン」など、クリエーター向けのソフトウエアで有名なアドビシステムズ。1982年にレーザープリンタ用のページ記述言語ソフトで創業した同社は、米国カリフォルニア州サンノゼ市に本社を置く。世界を代表するソフト会社へと発展を遂げる過程で、1994年にデザインソフトのアルダス、2005年に動画再生の「フラッシュ」で知られるマクロメディアを買収するなど、M&Aの活用により事業構造を変えてきた。
そのアドビが、新機軸を打ち出したのが2009年。ウェブアクセス解析関連のマーケティング会社であるオムニチュアを18億ドルで買収したのが起点だ。「クリエーティブ」分野でブランドを確立しているにもかかわらず、「マーケティング」分野にまで事業領域を拡大したのはなぜか。ユーザーにはどんなメリットをもたらすのか。シャンタヌ・ナラヤンCEOに聞いた。

――オムニチュアの買収により、アドビはクリエーター向けソフト主体から、ウェブサービスのライフサイクル全体をサポートする企業へと変身しました。決断の背景には何があったのでしょうか。

4年ほど前のことになります。モバイルやクラウドの進展によって、コンピューティングの世界が将来的にどうなるかを考え、2つの戦略を採ることを決めました。まず従来型のコンテンツ制作を手伝うことに加えて、その枠を超えてユーザーのライフサイクル全体をサポートするということ。2つ目は、今後、数十年を見据えてコンテンツ制作を再構築することです。

コンテンツ制作の枠を超えて包括的にサポートするための最初のステップとなったのが、オムニチュアの買収です。この部分を私たちは今、「マーケティングクラウド」と呼んでいます。具体的にはコンテンツの管理、測定、収益化、モバイル化をサポートしています。

また、数年前から「クリエーティブクラウド」という新事業にも取り組んでいます。従来はパソコンにインストールされたアドビの「インデザイン」や「フォトショップ」などのソフトでコンテンツが作られてきましたが、サービスという形態で提供して、モバイルとともに、制作者のコミュニティを通した情報のシェアリングなどにも対応しています。これには、クリエーティブ(コンテンツ制作)のプロセスそのものを再構築しようという野心的な目標があります。

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