3Dプリンタが製造業を変える

著名コンサルタント、ジョセフ・パイン2世に聞く

『Experience economy』(1999年、邦訳は『経験経済』でダイヤモンド社刊)、『Authenticity』(2007年、邦訳は『ほんもの』で東洋経済新報社刊)などの著書、共著者として知られる経営コンサルタントのジョセフ・パイン2世(B. Joseph PineⅡ)。1990年代初頭に、「マスプロダクション(大量生産)」から「マスカスタマイゼーション(大量カスタム生産)」への移行の流れを捉えていた慧眼だ。現在米国で進んでいる製造業の国内回帰運動「MAKERS(メイカーズ)革命」の主導者の一人でもあり、近著に3Dプリンタなど新しい生産手段について触れた『Infinite Possibility』(無限の可能性、邦訳は未刊行)がある(メイカーズ革命については週刊東洋経済1月12日号に詳しい)。6月上旬に来日したパイン氏に、これからの製造業はメイカーズ革命の進展によってどう変化していくのかを尋ねた。

――パインさんは、以前から「製造業のあり方は激変していく」と説いていました。

世界の製造現場で起こっているトレンドは、マスプロダクション(大量生産)からマスカスタマイゼーション(大量カスタム生産)への移行です。大量に同じものを生産するのではなく、消費者の観点に立った、マスカスタマイゼーションが伸びている。これは20年ほど前、私がまだIBMに籍を置いていたときに著書の中で発表した考え方です。マスカスタマイゼーションにより生産されるものは、目に見える商品だけではありません。サービスなどのエクスペリエンス(経験)も含むものです。

――マスとカスタマイズという言葉は相容れないようにも感じますが。

大量にカスタマイズするためには、ある程度の必要条件がある。大量生産のためには、一定程度のボリュームが必要で、コストも抑える必要がある。生産に関しても効率化を図れない限り、マスカスタマイゼーションは実現しない。ですから、多くの会社がビジネスの仕組みを大きく変えることで対処しています。

パリミキはマスカスタムの勝者

マスカスタマイゼーションのわかりやすい例があります。シアトルにもいくつかの店舗を持っている日本の「メガネのパリミキ」はすばらしい経験をさせてくれます。自分の顔をコンピュータに映し出し、眼鏡をかけたときの顔の外観を分析することができます。そして特別な調整をしてくれます。大量生産とカスタム生産を融合しているのです。

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