3Dプリンタが製造業を変える

著名コンサルタント、ジョセフ・パイン2世に聞く

3Dプリンタを使うと、頭の中で描いたことが即時に、現実のものになって表れる。例えば、普通の製品開発では、何段階も経てようやくそれが現実のものになっていくのに対して、即時に実現することができるというメリットがあるんですね。

――3Dプリンタは20年前からあります。何が変わったと思いますか。エポキシ樹脂のサプライヤーが増えたのでしょうか。

面白いことをいいますね(笑)。多くの要素がからんでいると思います。もちろん全世界的にエポキシ樹脂のサプライヤーがいることも、いま3Dプリンタが普及し始めている一つの要素でしょう。

今は産業経済から経験経済へと移行し、企業も人も、モノを作らなくなってきています。例えば、アメリカにおいては製造業に携わる人は雇用人口のわずか9%にしかすぎません。アメリカ市民全体のわずか5%です。ですから、モノづくりそのものが今までに味わったことのないすばらしい経験として見られるようになってきています。

3Dプリンタの登場により、モノづくりが民主化された。つまり大衆のものになった。一般の人であってもわずかの才能と適切なソフトウェアがあれば、自分が夢に見たデザインを形にすることができるのです。

自分の欲しいものは自分で作る

もう一つの重要なトレンドは、オーセンティシティ(ほんもの)です。偽者を嫌いオーセンティシティを求める心は、自分自身のアイデンティティに深く関わる要素です。個人の好みに合わせたカスタマイズを突き詰める。自分自身のアイデンティティの強化です。既製品の中に自分が欲しいものがなければ、自分の手を汚し、実際に触れながら、目指すものを作ることが、これからのトレンドだと思います。

エポキシ樹脂よりも重要性を持っているのはビット(bit)です。デジタル技術が発達すると、現実の生産とバーチャル(仮想)の設計ということが大きなテーマになる。実は、自分のこの名刺入れも、3Dプリンタで作られているんです。3Dプリンタを使用することでカスタマイズが可能です。名刺入れの側面には私の名前が刻まれています。

重要なのはパーツの組み合わせではなく1つのものとして作られていることです。通常であれば3つの部品から成り立っているレンチも3Dプリンタであれば1つのものとして製造できます。今日はたまたましていないのですが、指輪だってあります。エポキシ樹脂ではなく、金属を使ったものがプリンタで作れるのです。

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