マーケティングもアドビに任せろ

CEOが語る、“元”クリエーターソフト企業の新機軸

このような施策を採った結果、アドビは出版や小売り、金融サービス、旅行会社などさまざまな企業のマーケティング担当者にとって、より身近な存在になり、より大きなビジネス機会をつかめるようになりました。アドビにとって新事業であるマーケティングクラウドの分野だけでも、まもなく売り上げ規模は10億ドルになります。世界中の企業のマーケティング担当者を対象としており、年間成長率は20%に達しています。

マーケティング担当者にフォーカス

――ウェブマーケティングの分析機能を提供している会社は、ほかにもたくさんありますが、アドビのようにクリエーティブ部分と結合することの意味は、どこにあるのでしょう?

Shantanu Narayen●デジタルフォト共有技術のパイオニアであるピクトラの共同設立者。その後、 シリコングラフィックスのデスクトップ製品およびコラボレーション製品担当のディレクター、アップルの上級管理職を歴任し、1998年にアドビに入社。ワールドワイド担当の製品開発担当シニアバイスプレジデント、社長兼COOなどを経て、 2007年 12月に社長兼CEO就任。

具体的な顧客の事例を紹介しましょう。たとえば米国のメディア企業のコンデナストは、紙媒体の雑誌と同時に、コンテンツをパソコンなどで閲覧できるようなウェブサイトも作っていて、グーグルやアマゾンのタブレット端末向けのデジタルマガジン(電子雑誌)も手掛けています。彼らはこれまで構築してきたコンテンツや、今まで確立したブランドにより、デジタル事業の収益化を図ろうと考えています。

こうした企業が、クリエーティブクラウドを使ってコンテンツを制作して、それを、マーケティングクラウド側に保存することで、紙でもウェブでもデジタルマガジンでもコンテンツが利用できるようになります。さらに、ウェブサイトに訪れたユーザーの行動を測定して、各ユーザーの好みに合わせて(別の商品を勧めて販売する)クロスセルを行ったり、広告を入れたりすることも可能になります。

コンテンツを作って、配信して、測定する。アドビ1社でこうしたすべてのテクノロジーを提供できる。これがアドビの提案であり強みといえます。

小売業も同じです。大手安売り店のホームデポは、自社のウェブサイトに訪れたユーザーにそこだけで満足してもらうサービスを提供しようとはしていません。ユーザーがリアルな店舗を訪れた際に、(ウェブサイトの閲覧履歴など)過去の行動をベースに、それぞれの客に合ったリアルな店舗の情報をモバイルへ提供しています。(ネット、リアルの世界を問わず)マルチチャネルで一貫してユーザーと接することができるのです。

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