デジタル役員なくして、企業に勝利なし 有力ヘッドハンターが明かす、米国生まれの新潮流

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世界でインターネットの本格的な普及が始まって20年弱。インフラやデバイス(端末)、各種サービスの進化・充実などによって、ネットはすっかり日常の存在となった。
特にここ数年はスマートフォンやタブレットなどの「モバイル」端末が爆発的に行きわたっている。スマホは世界で10億人以上が利用するようになった。「いつでもどこでも」個人ベースでネットにつながるようになったうえ、FacebookやTwitterなどの「ソーシャルメディア」の広まりもあって、従来になかったヒト、モノ、カネ、情報の流れが生まれている。
「クラウドコンピューティング」とは、従来は個別のパソコンやサーバーなどで管理・利用していたソフトウエアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを通じてサービスの形で利用する仕組み。そして、世の中に飛び交っている大量かつ多様なデータを瞬間的に分析することで、人間の行動や自然現象などを予測し、企業の経営や自治体の運営などに生かしていく概念が、「ビッグデータ」である。
つまり、モバイルでいつでもどこでもネットにつながり、ソーシャルメディアで独自のコミュニティを形成・交流したり、クラウド上のサービスを利用したりする消費者の動きを、ビッグデータによって体系的に分析して、クラウドも駆使しつつ、企業の研究開発やマーケティング、物流、販促、販売などを、デジタルの要素で変革していくということが、CDOの役割と解釈できる。
そういう意味で、社内システムを統括することを遂行しているCIOとは意義が違う。個別部署ごとにやっていてもらちがあかず、企業全体に影響を及ぼせる役員レベルの立場で、あらゆる部門を巻き込むような活動が必要になる。

消費者の動きが企業よりも速い

リカーズ こうしたテクノロジーの進化・普及によって、消費者の動きが企業を先取りしてどんどん変わっていっています。いわゆるIT企業にとっても、この変化に挑戦していかなければならなくなっている。

デジタルでの経験を積んだ人材も、若い世代で増えてきています。ただ、経営戦略全体に、リーダーシップを持ってデジタルを採り入れようと対応している企業はまだまだ少なく、苦労しているところが多い。

――企業活動にデジタルの要素を採り入れる具体的なイメージを教えてください。

リカーズ EC(電子商取引)サイトとリアル店舗を両方持っている小売り企業を例にしましょう。これまで顧客との接触機会は、それぞれがバラバラになっているケースが多かった。それをデジタルで統合するというような動きです。

たとえば、ネットで注文してリアル店舗で商品を受け取る。リアル店舗の情報をネット経由で顧客に提供して、実際に店へ足を運んでもらう、などのことが起きる。これは「オムニチャンネル」という概念で伝えられることもありますが、顧客一人ひとりに対応していくとなると、サプライチェーンそのものも改革しなければならなくなり、企業側からすると複雑で難しい取り組みにもなります。

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