きくらげと聞くと、どうも中華料理の添え物という気がしてしまいます。シイタケやシメジなどとは違い、絶対にきくらげを食べたい、という人はあまりいないのではないでしょうか。中華料理に入っているので、何気なく食べている、というのが一般的だと思います。
でも、こちらのきくらげはただのきくらげではありません。通常のきくらげは黒色ですが、ここでは珍しい白きくらげを生産しているのです。
「日本のきくらげは、その97%が中国、台湾、ベトナムからの輸入品です。ほとんどは乾燥品で、新鮮なきくらげはめったに食べられません」。そう言うのは、グループの総帥・森脇信之社長。「うちの白きくらげは、菌床からすべて純国産品」と胸を張ります。きくらげは、免疫力を高め抗がん作用のあるビタミンDを豊富に含んでいますが、この白きくらげはさらに、普通の輸入きくらげの8倍ものビタミンDを含んでおり、食品の中でも最も含有量が多いそうです。加えて、不溶性食物繊維、カルシウム、鉄分、さらに植物性コラーゲンも含むスーパーフードです。
この白きくらげを普及させようと、ポン酢、サラダ、天ぷら、バター炒め等レシピの開発などで料理需要の拡大を図るとともに、健康やアンチエージング機能を前面に出して、ナノ化したサプリメントの販売にも力を入れています。「食品スーパーや百貨店でも売っています。最近は飲食店でもお店の特色のひとつとして、白きくらげをメニューに加えるところも増えました」。
乾燥白きくらげは、12グラム800円、24グラム1500円、60グラム3300円(いずれも税込)でネットなどで販売しており、「明日香きくらげ」のブランドで日本一の生産・販売実績を誇ります。現在、栽培ハウス3棟で年産能力27トン。それでも評判がよく、生産が注文に追いつかない状況です。今後、3棟を増築し、年産能力を54トンまで高める計画です。また広く全国の生産事業者に呼びかけ、自社生産の広葉樹のオガクズをベースにした菌床を提供。栽培ハウスのノウハウや生産技術の指導もして、できた白きくらげをアスカグリーンファームが買い取る仕組みも構築中です。
白きくらげで儲かるビジネスモデルを作り上げたい
そしてこの4月からは、近畿大学薬学部への委託研究と連動して「きくらげ研究プロジェクト Kiku Lab.」を始動させました。森脇社長が知り合いを介して、薬学部長の村岡教授に白きくらげを説明に行ったのがきっかけです。「強い菌床の研究や、化粧品・サプリメントの開発を近大と共に進めていきます」と、社長代理の山本人彰さん。植物栽培のスペシャリストで、このプロジェクトの会社側のリーダーです。近畿大学の4回生と共に、週4回の研究を続けています。森脇社長も「農業は儲からないと言われていますが、近大さんと一緒になって、白きくらげで儲かるビジネスモデルを作り上げたいと思っています。近大マグロに続く近大きくらげの商品開発を進めていきます」と、意気軒昂です。
出来上がった白きくらげを酢漬けや佃煮にした加工食品を試食させてもらいました。きくらげ自体は無味無臭ですが、しっかり味がついていておいしくいただきました。なお、無味無臭であることはどんな料理にも合わせられるということで、それ自体、大きな強みでもあります。
なお、栽培ハウスに入るには、その日の朝は納豆を食べてはいけません。納豆菌は、白きくらげに悪戯をするからで、それだけ厳重に管理して育てているのです。一方で、納豆菌もそれだけ強い、ということでもあります。
前段の卵も思い出し、近の鶏卵をご飯にかけ、納豆と近大白きくらげをおかずに食べれば、ホント、健康に良さそうだな、と思いました。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら