まずは、マシン・メンテナンス・サービスという会社。マグロとは何の関係もない飲料用水製造の会社で、東大阪市のクリエイションコアに本社を置くベンチャー企業です。かねてから、水の中に溶け込んでいる酸素ガスなどの気体の除去に取り組んできました。できた水を「脱気水」と言い、その製造装置を開発・販売しています。
「22年間、脱気水に取り組み、人間の健康に貢献しようとやってきました。自分も脱気水を飲み続け、料理にも使用しています。味はおいしくなりますし、栄養も損なわれません」そう言うのは、石原祥光氏。おかげで血液もサラサラ、100メートル全力疾走もできる、という75歳の元気な社長さんです。
そんな石原さんが、ふと、これを鶏でやってみたらおもろいのでは、と思い付きます。鶏は1日200ccの大量の水を飲みます。よく鶏卵にはコレステロールが多いと言われますが、コレステロールは脂質の一種だから、それを分解する脱気水を鶏に飲ませたらいいのでは、と考えました。それで奈良県畜産技術センターに脱気水製造装置を持ち込み、鶏に脱気水を飲ませるプロジェクトをスタートしました。
その後、効能をさらに高めるため、近畿大学に相談することにします。3年ほど前、脱気水装置の効能を計測してもらうために訪問したことがあり、すでに顔なじみでした。薬学部の多賀淳准教授の指導で脱気率をアップ。体を整え、酸化に弱い栄養の消失を防いで鶏の健康を保ちます。これにより、動脈硬化の原因になると言われる卵黄の悪玉コレステロール値を2割減らすことに成功しました。
「近の鶏卵」と命名
この卵を近大とのコラボということで、「近の鶏卵」と命名。今年の1月から高島屋大阪店で販売を開始しました。一般的な卵にある独特の臭いが無く、味付けしなくても食べられます。多賀准教授の研究室では2013年の開設以来、当商品が6つ目の商品化となります。1パック6個入り648円(税込)で販売。テレビ、ラジオでも大きく取り上げられ、近大マグロに次ぐヒット商品となりつつあります。
石原社長としては「『近の鶏卵』でブランド力を高めて本業の家庭用の脱気水生成装置を知ってもらい、多くの家庭に普及させたい」と期待しています。まさに、産学連携の「金の卵」という訳です。
もう1社は、自然豊かな奈良県五条市にある会社です。緑がいっぱい、川にはコイも泳ぐ山奥の土地5000坪で、きくらげを作っています。会社名はアスカグリーンファーム。奈良県橿原氏市でビルメンテンスを営むアスカ美装グループ(年商72億円、スタッフ1500人)が、奈良の特産品を生産販売しようと立ち上げた農業法人です。
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