本当の格差は「無形資産」によって生まれる

リンダ・グラットン氏、安倍首相夫人と共演

安田:経済学者の故・青木昌彦先生(スタンフォード大学名誉教授)は、今の日本社会を「失われた20年」ではなく「移り行く30年」だと表現されました。若い人が中心となって働き方や社会の仕組みを少しずつ変えている。今はその移行期にあるということです。

会社の制度と労働市場は互いに補い合っていますから、現実にそぐわなくなってもすぐに変えることはできません。お互いに補完し合う制度が社会のシステムを形作る。それを解体して新たに安定的な社会システムを築くためには一世代、つまり30年はかかる。今がその移行期にあたり、より良い方向に変わっていく30年だとおっしゃいました。

「無形資産」の格差が生まれる

安倍:私は今年8月に山口県下関市で「UZUハウス」というゲストハウスをオープンしました。下関市出身の知人が「地元のために何かやりたい」ということで一緒に立ち上げたのです。バックパッカーが宿泊できるゲストハウスで、クラウドファンディングで資金を募りました。これからは地方の時代。田舎暮らしがカッコいいと言われる時代が来るのではないでしょうか。東京と田舎、拠点が2つあってもいい。自ら仕事をつくっていけば、田舎でも生活できるし、そういう人を応援していきたいですね。変わり者が世の中を変えていくと思います。

浜田:池見さんは東京勤務ですが、湘南に生活の拠点を移されたんですよね。

池見:私はグラットンさんの『ワーク・シフト』を読んで、都内から茅ケ崎(神奈川県)に引っ越しました。毎朝、海に入ってから出勤します。会社まで往復3時間かかります。それを言うと皆が驚くのですが、通勤時間を読書にあてて、自分の知識を得る時間として使っています。

それからもうひとつ、仕事の面から言うと、大手企業からベンチャー企業に転職する人も外資系コンサルティング業界や金融業界などから増え始めています。おカネだけではなく、キャリアアップややりがいのために転職します。少なくとも最近は「35歳限界説」をあまり聞かなくなりましたよね。視野を広げてみると、自分が持っている知見がまったく違うジャンルで使えるということがあり得る時代になったのではないかと思います。

浜田:地方と都市間も含め、格差もまた日本が抱える問題のひとつです。今後、スキルアップをするにも「無形資産」を得るにも、持っている人とそうでない人の差が大きくなっていくのではないでしょうか。

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