ヤフーがもう、AIを手放せなくなったワケ 日本で断トツに稼ぐ会社の収益エンジンとは

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ヤフーのネット広告では、アドネットワークの「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク」(YDN)と、検索連動型広告が2大商品ですが、ともにAIを活用しており、2つを合わせると年間約2000億円を超える売り上げ規模です。日本の企業で、AIの力で年間2000億円規模のビジネスを実現している会社がほかにあるかというと、たぶんないでしょう。AIでは日本で断トツに稼いでいる会社がヤフーなのではないでしょうか。

――AIが活躍する、具体的な場面とは?

志立:ヤフーのポータルサイトやアプリを利用する人は、1日約9000万人(パソコンやスマホなど各ブラウザを合計したのべ人数)。毎日、ユーザーからはページ閲覧など各サービスに対して、50億件超ものリクエストが集まります。出稿される広告数は、YDNの場合、さまざまな顧客から、合計で1000万種類以上もあるのです。

「AIで実際にビジネスを加速できているかが大事」と語る志立(しだち)正嗣執行役員(左)と、技術開発を担う塚本浩司サイエンス本部長。志立氏は1998年にヤフー入社、検索、広告、メディア事業の責任者を歴任し、2015年からデータ&サイエンスソリューション統括本部長。塚本氏は2009年にヤフー入社、Yahoo!JAPAN研究所で言語処理・機械学習の研究開発をしてきた

機械学習を使って最適に広告配信

問題は、リクエストに対して、いかに効果的に広告を配信していくか。これだけ膨大な数のユーザーと広告をリアルタイムで最適にマッチングさせる作業は当然、人手では無理です。そこでヤフーは、サイト閲覧やサービスの利用履歴などユーザーの膨大なデータについて、コンピュータが反復学習する機械学習を活用することで、最適な広告配信を実現している。AIという言葉からは、人の頭脳の代わりとなる人格的な何か、といった印象を受けるが、そうしたものを作っているわけではないのです。機械学習をAIと呼ぶなら、すでにAIはヤフーのビジネスに不可欠になっています。

――業績を引き上げるような効果はありましたか。

志立:YDNの前身となるサービスを始めたのは2008年でしたが、しばらくは低調な状態が続いていました。その後、機械学習を本格的に取り入れ始めたのが2011年で、翌年から本格的に効果が現れ、急激に売り上げが伸び始めたのです。現在に至るまで右肩上がりを続けています。AIという言葉が世の中で盛んに言われる以前から、実際のビジネスで使い、大きな効果を挙げてきました。

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