ヤフーがもう、AIを手放せなくなったワケ 日本で断トツに稼ぐ会社の収益エンジンとは

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――今後AIの活用領域を広げていく考えはありますか。

塚本:もちろん、そうなります。すでにECモールのYahoo!ショッピングなどのサービスで、「質拡張学習」という機械学習の技術を使い始めています。この技術によって、Yahoo!ショッピングに初めて訪れたユーザーに対しても、ヤフーIDに紐付いた他のサービスの利用傾向といった情報から、最適な広告を配信することができています。ほかのサービスで、同じような行動をしているユーザーの情報と組み合わせ、何に興味を持っているかを推測できるからです。

志立:今までヤフーは、ネットオークションなどのECやクレジットカードなどの決済・金融の間で、事業領域をまたいでのデータ活用をしてきませんでした。今後は事業間でデータを相互に活用し、個々のユーザーの求める問題解決の精度をより高めていく。そこでAIをどう使うかは、とても重要な取り組みになります。Yahoo!ショッピングでの広告配信は一つの例ですが、同じように各種のサービスでユーザーに対して、より適切な提案ができるようになるでしょう。

精度をまだまだ高める必要がある

――今後の課題は?

塚本:AIによる推測の精度は、まだまだ高めていく必要があります。これまでも機械学習を強化するため、技術的な施策を毎年何百と打ち、その度に結果を見て取捨選択をしてきました。施策がうまくいかないことの方が多いくらいですが、そうした取り組みをこれからも続けていく必要があります。

――ヤフーならではの強みはどこにあるのでしょうか。

志立:ヤフーは世界のネット企業と比べても、検索、EC、決済など、事業領域が非常に広いことが特徴です。各事業のデータを相互活用すれば、われわれ以外には実現し得ないスケールメリットが見込めます。その一方でヤフーの事業規模だと、得られるデータは非常に膨大な量であり、文字通り半端ではない”ビッグデータ”。取り扱うための機械学習などの技術やインフラの整備のハードルも非常に高くなります。

だからこそ人材の獲得・育成や研究開発には積極投資を続けています。今すぐ結果につながる技術も大事ですが、同時に中長期で本当に強くなるために学術的な領域も含めた研究開発も重視しています。ネット業界では、短期的に業績に効果の出る投資が重視されがちですが、ヤフーの場合、中長期的な投資も本気でやっています。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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