なぜ円安なのに、設備投資は増加しないのか

アベノミクスは実体経済に影響を与えていない

6月3日に公表された2013年1~3月期の法人企業統計の数字は、設備投資が増えていないことをはっきりと示している。

ソフトウエアを除く設備投資を見ると、全産業が対前年同期比5.2%減、製造業が同10.3%減、非製造業が同2.4%減だ。

前期比では増えているが、これは季節変動と考えられる。図に見るように、毎年1~3月期には増えている。製造業について1~3月期だけを比べれば、円高期であった11年や12年の水準よりもかなり低い水準に落ち込んでいることが注目される。

アベノミクスでは、期待の重要性が強調された。確かに株価は、円安による輸出関連企業の利益増加を先取りして上昇した。

しかし、実体経済指標の中で、期待がもっとも重要な影響を及ぼすはずの設備投資には、影響が及んでいない。つまり、安倍内閣の経済政策は実体経済に影響を与えていないのだ。これは、すでに公表されていた1~3月期のGDP統計にも表れていた傾向だが、それが企業レベルの計数で裏付けられた。

円安で利益が顕著に増加している自動車・同部品では、1~3月期の設備投資はわずかに増えている(対前年同期比4.7%増)。しかし、他の業種では、減少になっている場合が多い。とくに減少が著しいのは、鉄鋼(同24.4%減)、生産用機械器具製造業(同29.2%減)、業務用機械器具(同20.8%減)、電気機器(同33.9%減)、情報通信機器(同19.6%減)などだ。

なお、非製造業については、時系列的に顕著な傾向は見られない。

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