なぜ「円安は日本再生の最強の処方箋」なのか 伝説のトレーダー、藤巻健史氏が語る「本物の円安論」(上)
安倍政権が誕生して以降、円高の弊害が少しずつ国民の間に浸透し始めた気がしますが、私はもうずっと前から「円安だ、円安だ」と、独りで叫び続けてきました。そのせいでしょうか、私のことを「ミスター円安」などと呼ぶ人もいます。
円高に苦しんできた日本経済
読者の方に誤解されるといけないので言わせていただきますが、私は年がら年中、「円安がいい」と主張しているわけではありません。本来、市場原理が正しく働いていれば、為替は経済の自動安定装置としての役割を果たします。したがって「景気が悪ければ円安に、景気がよくなったら円高に」――それが私の持論なのです。わが国はバブル崩壊以降、今日までずっと景気が落ち込んでいました。だから「円安を」と言い続けてきたにすぎません。
「円安がいい」と言うと、「輸出が伸びるから藤巻は円安を主張しているのだろう」と誤解されることがよくあります。また、その誤解に基づいて、「日本経済は輸出依存度が低いから円高でいいのだ」といった俗論をぶつけてくる人もいます。私が「円安がいい」と言うのは、単に輸出産業がよくなるからというだけの、底の浅い話ではありません。