なぜ「円安は日本再生の最強の処方箋」なのか

伝説のトレーダー、藤巻健史氏が語る「本物の円安論」(上)

安倍政権誕生以降、急激な円安が進み「為替」への関心が高まっている。円安は本当に日本経済を救うのか? それとも輸入物価の高騰を招き、国民生活を疲弊させてしまうのか? そこで、今回と次回の2回に分けて、『円安vs.円高 どちらの道を選択すべきか』を著し「円安こそ日本再生の最強の処方箋」と主張する藤巻健史氏に、日本のあるべき通貨政策について語ってもらった。第1回目は「なぜ円安がいいのか」「なぜ円高が日本経済を苦しめてきたのか」について明らかにする。
藤巻 健史 ふじまき たけし 元モルガン銀行東京支店長、日本を代表する債券・為替・株式トレーダーの1人。一橋大学商学部卒業後、三井信託銀行入社。1980年ノースウエスタン大学ケロッグスクールでMBA取得。1985年モルガン銀行に転職し、「伝説のトレーダー」の異名をとる。ジョージ・ソロス氏のアドバイザ—を経て、現在はフジマキ・ジャパン代表取締役。

安倍政権が誕生して以降、円高の弊害が少しずつ国民の間に浸透し始めた気がしますが、私はもうずっと前から「円安だ、円安だ」と、独りで叫び続けてきました。そのせいでしょうか、私のことを「ミスター円安」などと呼ぶ人もいます。

円高に苦しんできた日本経済

読者の方に誤解されるといけないので言わせていただきますが、私は年がら年中、「円安がいい」と主張しているわけではありません。本来、市場原理が正しく働いていれば、為替は経済の自動安定装置としての役割を果たします。したがって「景気が悪ければ円安に、景気がよくなったら円高に」――それが私の持論なのです。わが国はバブル崩壊以降、今日までずっと景気が落ち込んでいました。だから「円安を」と言い続けてきたにすぎません。

「円安がいい」と言うと、「輸出が伸びるから藤巻は円安を主張しているのだろう」と誤解されることがよくあります。また、その誤解に基づいて、「日本経済は輸出依存度が低いから円高でいいのだ」といった俗論をぶつけてくる人もいます。私が「円安がいい」と言うのは、単に輸出産業がよくなるからというだけの、底の浅い話ではありません。

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