なぜ「円安は日本再生の最強の処方箋」なのか 伝説のトレーダー、藤巻健史氏が語る「本物の円安論」(上)

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政治に求めるべきは、さらなる量的緩和ではない

資金が集まらなければ、国債の価格は下落し、長期金利が上がります。ところが日本では、日銀とゆうちょ銀行という事実上の国営機関が、国債の大口需要家として、ひたすら国債を買い支えてきました。ちなみに日銀は、その資産の7割を国債投資に充てていますし、ゆうちょ銀行になると、預かった預金総額の8割に上ります。日銀とゆうちょ銀行という市場原理とは関係ない大需要家が市場に参入し、がむしゃらに国債を買い支えてきた結果として、国債の価格はかろうじて高止まりしています。ここに、政治家がいくらバラマキを行っても長期金利が上昇しないカラクリが隠されていることを、どれだけの国民が理解しているでしょうか。

デフレから脱却したいなら、景気をよくしたいなら、私たちが今、政治に求めるべきは、さらなる量的緩和などでは断じてありません。市場原理を正しく機能させることで、ジャブジャブになった国内滞留資金の海外への流出・還流を促し、円安へと導く仕組みづくり――要は、「構造改革」なのです。

「日銀の外貨資産購入」や「ドル建て日本国債の発行」など方法論はいくらもありますが、根本的にはやはり、ゆうちょ銀行を完全民営化し、日銀による国債購入を制限するなどして、市場原理の埒外にある「国営機関」が市場を牛耳る不合理を改めることが最重要でしょう。言い換えれば、市場原理が働くまっとうな資本主義をこの国で実現することこそが、円高を解決し、日本経済を再生に導く処方箋であると、私は確信しています。

*なお、藤巻 健史氏は6月10日「日本維新の会」より、7月の参議院選挙公認候補として発表されました。


 

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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