2人に1人が「100年生きる」時代に必要な能力 何歳でも「変身できる」力の身に付け方

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ここで著者のグラットンらは、「10年ごとに平均2~3年のペースで、平均寿命が延びている」というデータを紹介する。この傾向が続くなら、これから50年経てば、平均寿命は10~15年延びる、ということになる。

さらに著者は続ける。

過去に劇的に平均寿命を延ばしたのは、最初は乳幼児死亡率の改善だった。次は、中高年の慢性疾患、特に心臓血管系の病気とがんの対策が進んだことだった。この次に平均寿命を大きく上昇させるのは、高齢にまつわる病気の克服だろう、と。

たしかに、この分野への資金の投入は大きいようだし、そんなイノベーションが起こる可能性は高そうだ。

そうなると、心配になるのは、当然おカネのことだ。自分はいったい、いくら稼げばいいのか、いつまで働けばいいのか? ここで著者は、教育・労働・引退という、私たちの常識となっている3ステージモデルを否定してくる。このモデルに従っていては、100年ライフを楽しく過ごせないというのだ。

いわゆる「老後」が長くなるので、若いうちにできるだけ蓄積して、それを「食いつぶす」発想ではもたないという。生涯現役で働く準備をすべきだと。そのことを、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーン、という仮想の登場人物の人生シナリオを活用して、丁寧に説明していく。

たとえば、3ステージモデルをもとに、いくつかの前提を置いて考えると、ジミーは現役で働いているとき、毎年所得の17.2%を蓄える必要がある。引退期間がさらに長くなるジェーンは、25%を蓄えなくてはいけない。1945年生まれのジャックは、4.3%の蓄えで足りたのに……。

もちろん、仮想的な数字に基づく議論ではある。そのまま私たちの生活に当てはまるものではない。ただ、老後のおカネの大まかな考え方は、納得できる。

マルチステージ、マルチシナリオの人生

テクノロジーの進展も激しい時代、永続する企業は減るだろうし、そういう企業があったとしても、「機械との競争」などで、稼げるスキルは変わっていく。単一企業の寿命や、単一スキルの寿命より、私たちの寿命が長い、という時代が迫っているようだ。

そうなれば、1社で長く働き定年まで勤め上げる、という生き方はもうできないかもしれない。それなら、新しい時代に合わせた働き方をすべきだろう。では、これから、どういう働き方が主流になるのだろうか。

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