――どうしてそういう教え方をするのですか?
“英語脳”を作るためです。英語を“話せる”ことと、英語で“コミュニケーションできる”ことは違います。何か話そうと思ったときに、いちいち頭の中で日本語から英語に“変換”していては遅いのです。
そうではなくて、本当の英語力を身に付けてほしいと思っています。具体的に言えば、appleと言われたら、「リンゴ」という日本語ではなく、「木になっている“青い”果実」を直接的に連想できるような力ですね。それに色も欧米では「赤い」ではなく「青い」のが相場です。そういう“生の英語”に対応する力はまだ頭の柔らかい中学生のうちに培うのが最適です。中1の後半にもなれば、A4用紙1枚を埋めるくらいの簡単なエッセイは書くことができるようになっています。
それが高校1年にもなると、授業の前にペーパーバック程度の厚さの1冊の本を読んできてもらって、それを基にディスカッションを進めます。アメリカの大学に行っても通用する力をつけたいと思っています。とにかく、「話す」「書く」「聞く」を徹底的に行います。
「3単現にsがつく」を知らない?
――なるほど、一般的なイメージの英語教育とはちょっと違いますね。では極端な話、鴎友生は高校1年まで、「3単現にsがつく」ということを知識としては知らないということですか?
知らないということはないと思いますよ(笑)。ただ、日本語の文法用語としては知らないということです。
高校1年生からは、細かい文法知識を、日本語を使って教えていきます。細かい知識が要求される日本の大学受験にも対応しないといけませんから。ですが、その頃には「英語脳」は出来上がっていますから、あっという間に身に付けてしまいます。うちの勉強のやり方はとにかく“実践主義”ですね。理科の実験でも同様かと思います。
特に鴎友らしさが出ていると思うのが、「未知資料分析」という実験です。どういうことをするかというと、何かわからない正体不明の白い粉を10種類用意しておいて、生徒には試行錯誤を繰り返して、その粉が何かを突きとめてもらいます。間違えてもかまいません。ちょっとくらい爆発したって、ガスが出たって、安全策を講じていますからかまいません。失敗から研究者は学ぶのですから。