豊かな文化融合の証、アヤ・ソフィアが危ない
なお深刻なことに、宗教色の強い右翼政治家がアヤ・ソフィアのキリスト教天使の壁画を塗りつぶして完全なモスクにしてしまおうとしており(なおアヤ・ソフィアはビザンティン帝国時代の教会をオスマン帝国がイスタンブールを手中に収めた後にモスクを融合させた、多様な文化への許容と融合の象徴的な建築物であり、イスラム教では許されない神を人間にみたてて描いた壁画も残っている)、社会の右傾化が多様な文化の豊かさを誇るイスタンブールの魅力を窒息させてしまわないか、心配である。
さて、せっかくのイスタンブール滞在なのに、お堅いことをぶつぶつと書いてしまったわけだが、最後にもうひとつの、柔らかめのトルコびっくり情報をお届けしよう。
何を隠そう、トルコ人はヨーグルトをたくさん食べるのだ。それを反映して売っているヨーグルトのサイズが馬鹿でかい。バケツのようなサイズの容器にヨーグルトが詰められて売られており、乳製品の市場は熾烈な競争が繰り広げられている。プレーンヨーグルトはローカルな巨大メーカーが支配しているので、ダノンなどのグローバル企業は、従来、トルコで浸透していなかったフルーツ味のヨーグルトなどで市場進出を図ってきたわけだが、とにかくトルコのスーパーの棚は、巨大なヨーグルトで埋め尽くされている。
私は今、冒頭で紹介させていただいたザクロジュースに焼き栗、そしてオットマンコーヒーをたらふく飲み食いしながら、ブルーモスクの近所の市場で買った250リラのカシミアストールと、900リラもするがさすがに美しいトルコの陶磁器をしげしげと眺めて満足そうに微笑んでいる。
どうやらそろそろお迎えのタクシーが到着したようだ。再び長蛇の列で延々と並ばされるであろうイスタンブール行の空港に、今から向かわなければならない。それではみなさんよい週末を。来週はまたフランスからコラムを書きつづります。
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