入社数年の若手社員は、数年前に就活してその会社に入った先輩だ。なぜこの会社を選んだのか、入社後数年働いて、今どう感じているのか。そしてこれからどういう展望があるのか。直接若手社員に会って話ができるので、会社や職場の本当の雰囲気を知り、入社後のイメージをつかむことができる。複数の内定を得て迷っているときに、この若手社員との懇親会で最後の見極めをする内定者もいる。
企業が内定を出した学生に、入社までに仕事に必要な社会人としてのマナーやビジネス感覚、また業務に必要なスキルなどを身に着けておいてもらいたいと考え、入社前教育を行うケースも多い。
中でも、企業側にあまり手間がかからず、遠方の内定者に対しても平等に実施できる、eラーニングや通信教育を3割の企業が実施している。しかし、学生側から望む声は少なく、文系で16%、理系で13%しかない。就活を終えてほっとしているところに、もしくは卒業論文や卒業研究の取り組みで大変なときに、企業から自宅での学習をプッシュされることは望んでいないようだ。
社内報や役員との懇親は学生に不人気
「社内報の送付」も27%の企業が実施しているが、学生側の要望は12%。社内報とは、企業内のトピックや社員の活動を定期的に伝える小冊子だが、学生が見る機会は少なく、イメージが沸かないのかも知れない。送付されてきたものを見ても、企業によっては社内の専門用語が多く使われているなどの理由で、よくわからないということもあるのだろう。
入社前教育でも「入社前集合研修」の要望は文系学生を中心に高く、22%が望んでいる。集合研修は場所、講師の費用だけでなく、学生の交通費や宿泊費もかかり、さらに招集から実施、解散まで人事が学生の面倒をみなければならず、手間がかかる。入社後の新入社員研修とは違い、企業は学生に参加を強制できないので、公平・平等という観点でのデメリットもある。また、理系学生の入社前総合研修は、14%と少ない。理系の場合、卒業研究が忙しいので、内定が決まったら入社まではできるだけ時間を取られたくないということなのだろう。
「経営者・役員との懇親会」は、企業の4社に1社が開催をする。経営者からダイレクトに経営方針やビジョンを伝えてもらうことで、入社志望度を上げたい意図で開催しているようだが、学生には不人気のようで、望むのは1割以下となっている。企業としては、代表者や役員から直接話しかけて学生に入社の意思を固め、モチベーションをあげてもらいたいという思いがあるが、学生からは経営者や役員は遠い存在で、お互いに話す懇談のイメージがわかないのかもしれない。
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