ネット証券vs中堅証券、株高で人材争奪戦 ISA導入も控え証券外務員引っ張りだこ

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対面営業の中堅証券も即戦力集まらず新卒採用を拡大

中途採用の人材確保に汲々としているのは、対面営業の証券会社も同様だ。ある準大手クラスの証券会社では、最近、中途採用を拡大としようとした。しかし、採用がままならず、「結局、新卒採用数を大幅に拡大するという考えに変えた」と言う。

ただし、新卒採用の場合、当然ながら証券外務員資格はまだ有しておらず、一定期間の研修と、証券外務員試験に合格することが欠かせない。つまり、即戦力とはならず、現状、深刻化している人材不足の解消とはならないのが現実だ。「証券業務経験者を紹介してくれる人材派遣会社もお手上げらしい」と中堅証券の幹部はこぼす。

今後、証券業界では2014年1月から開始される投資の非課税制度、日本版ISAのためのコールセンター機能も充実化する必要に迫られている。はたして、現在のような情勢の中で、各社が満足な体制を構築できるかどうか。

そこで、日本版ISAの制度確認など基本的な部分に関するコールセンター機能は、個別の証券会社ではなく、業界統一インフラとして構築すべきという意見も出始めている。確かに、業界インフラとして、たとえば東北被災地などにコールセンターを作り人材を育成すれば、被災地の雇用機会の拡大にもなる。一考の余地はありそうだ。

市場の活性化で発生した今回の事態は一朝一夕に解決できそうもない問題であるだけに、今後、どのような着地点が見いだせるのか。証券業界からは幸せな悲鳴が聞こえてくる。

(撮影:今井 康一)
 

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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