ネット証券vs中堅証券、株高で人材争奪戦 ISA導入も控え証券外務員引っ張りだこ
証券業界が人材の確保に悪戦苦闘している。年明けからの株式取引量の急増を受けて営業人員等の拡充に迫られているからだが、即戦力の人材の確保がきわめて困難化しており、今後も事態が改善する見込みは立ちにくい。
内定者の辞退相次ぎコールセンターがつながらない
具体的なケースから紹介しよう。あるオンライン専業証券会社では取引量の急増を受けて、1月下旬からコールセンターの人員拡大のための採用活動を積極化した。コールセンターへの問い合わせに十分に対応しきれない事態が見込まれたからだ。
コールセンターの人材確保の場合でも、具体的な取引に関するアドバイスなどの対応が含まれるため、「証券外務員」資格を有する人材でなくてはならない。そこで、証券外務員資格を有する人材採用活動を始めた結果として、2月中旬ごろには一定の採用を確保できた。
ところが、だ。3月に入って、それら採用決定した人材が次々に辞退に動き出した。なぜか。対面営業の伝統的な証券会社も中途採用に動き出しており、そちらのほうが賃金などの待遇面で好条件であるためだ。結果として、このオンライン専業証券は、給与条件を引き上げるなどして、いまだに採用活動を続けている。
オンライン専業証券をはじめとして、証券会社のコールセンターでは現在、取引量急増に伴う問い合わせの拡大にコールセンターの現有人員では対応しきれず、なかなか問い合わせ客の電話が通じないというケースが頻発している。
このため、コールセンターへの電話が通じなかった投資家の中には、金融庁などに苦情を申し立てる向きも出ている。そうした情勢に、「各社がきちんと対応してもらいたい」と、ある金融庁関係者は不快感を隠さない。
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