野村証券、日本版ISAへ攻勢 顧客への案内活動を強化

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2014年1月に導入を控える「少額投資非課税制度」(日本版ISA)の顧客獲得をめぐり、国内証券最大手の野村証券が、本格攻勢に動き始めた。

日本版ISAは、上場株式、株式投資信託への投資に対し、上限で年100万円、5年間で最大500万円までの投資元本から生まれる配当・譲渡益が非課税となる。株式などの長期保有を促す仕組みだ。現在適用されている10%の軽減税率は終了する。14年1月の取引開始に先立ち、口座開設が今年10月1日から始まる。

最大のポイントは、ISA用の口座が顧客1人につき一つしか開設できないことだ。1人の顧客が1口座しか作れないという制度は、金融業界で過去に例がない。しかも現状では、一度開設した専用口座は以後4年間移管できないため、口座獲得に出遅れると数年後に大きな差となりかねない。証券会社や銀行の間では口座獲得に向けた準備が、次第に本格化している。

DM、専用ダイヤルに加え、案内状も

野村證券は日本版ISAに関して、ダイレクトメール(DM)の一括送付に加え、ISA専用ダイヤルを3月21日からスタート。顧客への案内活動を展開しているが、さらに既存顧客に毎月送付している月末の取引残高報告書について、3月末分にISAの案内状を添付して送付する。これによって、ISA口座開設申込書が正式決定するまでの間に、顧客の意向を確認し、口座開設の意向のある顧客から(口座開設の)仮予約の情報を蓄積する方針だ。

野村は3月29日に一旦終了した顧客紹介キャンペーンを4月1日に再び開始した。今回は5月末まで継続させる。同キャンペーンは既存顧客が紹介した新規顧客が100万円以上の取引を行った場合、既存、新規の両顧客に3000円相当をMRF(証券総合口座)にキャッシュバックするというもの。今回は対象商品を拡大するとともに、ISAの説明も併せて行う。これによって、顧客基盤の拡大とISAの認知度向上を同時に実現していく。

一方、営業店レベルでは「日本版ISAセミナー」を開催し、顧客への認知度を高めていく。たとえば、愛知県の豊橋支店では4月4日、18日にセミナーを開催。今後、全国的に展開していく。 

(撮影:玉川 陽平)

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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