『婦人公論』に見る、変わる妻たちの関心事 『婦人公論』三木哲男編集長に聞く

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40代向けの化粧品とか、アパレルとかで、爆発的にはやっているものというのは、なかなか見つかりません。メーカーはみんな、そういう成功を狙っているけれど、大きなムーブメントは起こせていないように思います。

――なぜ、今ひとつうまく行かないのでしょうか。

そもそも、商品開発やコンセプト設計が、40代女性のニーズをとらえきれていないのではないかと。

実は、40代の人を狙って出したものが、40代の人に響いていません。冒頭で話したとおり、今の40代女性は昔より、見た目も気持ちも10歳くらい若い。サイズの問題さえクリアできれば、20代向けの、少しエレガントなテイストのお店で服を買いたいのです。そこをうまくとらえきれていないのでしょうね。

――では、40~50代の女性は、どんなことにならおカネを使うのでしょうか。彼女たちが今、楽しいと思っていることは、どんなことなのでしょう。

女性同士で遊ぶことでしょうね。旅行に行ったり、飲み会をしたり。ある一部の人にとっては、圧倒的に恋愛が楽しみでしょう。この年代の夫婦の6割以上がセックスレスですから。気持ちを満たしてくれる男性の存在は、高級ブランドよりも大きい。

ただ、もう少し将来の見通しがつかないことには、大きくおカネは使えないというのが本音でしょう。高度成長の頃と違い、今はよっぽどの高給取りでないとまったく老後が見通せないですから。

なので、この層の女性の消費をつかむのは、並大抵じゃないと思います。「美魔女」(編集部注:40代以上の驚異的に美しい女性)という言葉もはやりましたが、そこを目指す人は実際のところ、ほんの一部。この年齢から高級ブランドで着飾って、お化粧をして、勝負したいと思っている人は、現実にはそれほど多くありません。45歳からの女性は、そんなにチープではないし、もっと世の中をわかっています。

この年代の女性は、よく「そこそこ」という言い方をします。「飛び抜けてキレイになりたい」ではなく、「そこそこ品があって、そこそこ愛嬌のある女性になりたい」と。

そういう考え方に立つと、この「そこそこ」にうまく寄り添うような試行錯誤が、もっと必要なのではないかと思います。

(撮影:梅谷秀司)

 

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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