日ロ解散説が浮上!安倍首相の描くシナリオ 「史上最長政権」を狙う首相の胸中は?
戦後の解散史を紐解くと、外交の成果を掲げての解散は、佐藤栄作内閣での「沖縄解散」と田中角栄内閣での「日中解散」という2つの例がある。前者は沖縄返還実現が、後者は日中国交正常化が大義名分となった。いずれも日本の戦後外交史で特筆されるもので、大国ロシアとの北方領土交渉で「合意」にこぎ着ければ、首相にとって「選挙勝利の絶好のチャンス」(側近)となるのは間違いない。
すでに具体的な選挙日程も浮上している。日ロ会談での合意実現を前提に、年末に来年1月7日前後の通常国会召集を決め、その召集日に首相が解散を断行して投開票日を2月5日とする案が軸だ。この日程なら選挙後の特別国会の2月下旬召集が可能となり、5月連休前の来年度予算成立も見込める。アベノミクス加速を理由とする大型補正予算の臨時国会提出も、それを見越したものだ」(自民幹部)とささやかれている。
もちろん、「国政選挙5連勝」となれば3月5日の党大会で自民党総裁任期を「連続3期9年」とする党則改正にも異論が出そうもない。そうなれば首相は、第1次政権も含めて「9年超」という憲政史上最長政権も狙えることになる。
「2・5総選挙」浮上に"ブラフ"説も
ただ、「日ロ合意」の困難さだけでなく、選挙圧勝となる保証もない。前回の総選挙で自民党は291議席の大勝で公明党と合わせた衆院勢力も憲法改正発議に必要な「3分の2」を確保した。しかし、今年7月の参院選では11の1人区で自民候補が野党統一候補に競り負けた。これを衆院にも当てはめれば「野党共闘成立なら自民の50議席減もありうる」(自民選対)のが実態だ。そうなると衆院での与党「3分の2」を失い、「首相が悲願とする憲法改正だけでなく、史上最長政権にも黄信号が灯る」(自民長老)ことになる。
「沖縄解散」は自民大勝で佐藤首相の戦後最長政権につながったが、続く「日中解散」は自民議席減に終わった。「外交案件を争点に選挙とは、違和感がある」と警戒心を露わにした蓮舫代表だが、「窮鼠猫を噛む」とばかりに共産党との本格的選挙共闘に踏み切る可能性は少なくない。このため、永田町では「この前の同日選説と同様に党内引き締めを狙ったブラフで、日ロ会談で一定の成果を上げても解散せず、任期延長という果実だけ手にする戦略」(首相経験者)との声も聞こえる。
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