馬小屋の中をよく見ると、そこにいるのは馬ではなく、馬とメカが合体した“馬バイク”。その前で男たちが酒を飲み、囲碁を楽しんでいる。武士がいるかと思えば、赤いTシャツの女性もいて、時間の流れから解き放たれた場所のようだ。
作者の山口晃さんは、いま最も注目されている画家の一人。横浜のそごう美術館で「山口晃展 付り(つけたり)澱(おり)エンナーレ~老若男女ご覧あれ~ 」が開かれている。時間の壁を超えるとともに、日本画から油絵、マンガまで、ジャンルの壁も自由に行き来し、クスッと笑ってしまうおかしみと批評の交じった絵が人気を集めている。
この『厩圖(うまやず)2004』には日本の伝統的な絵のフォーマットが取り入れられている。山口さんはこう話す。
「今でいうと高級自動車のような感覚だと思いますが、自分の馬を並べて、その前で飲み食いできるように畳敷きになっている。そういう古い絵があるんですね。厩圖を“メカニック現代バージョン”で描いてみようと思ったときに、バイクだろうなと」。
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