千差万別の校風、正しく塾を選ぶには? ポーターの基本戦略から塾を分析

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早稲田アカデミーの入試報告会の特徴は、プレゼンにある。ほかの塾が冊子だったり、プリントを見ながら説明を受けるのに対し、早稲田アカデミーはパワーポイントを使ったプレゼン。情報が整理されているので、大会場を使用したプレゼンとしてはパワーポイントを使用したプレゼンがいちばん見やすい。講師陣も個性的で、今回紹介した塾の中ではいちばん体育会系の雰囲気がある。積極的に子どもたちに接してくれそうな雰囲気があり、その辺から面倒見のよい塾だと言われるのだろう。

以上、3つの中学受験塾の入試報告会を紹介してきた。3つの中学受験塾の入試報告会は、小学生の子どもを持つ親であれば誰でも無料で参加できる。これらの3つの入試報告会に参加する意義は以下の3つを挙げることができる。

1.それぞれの塾により、入試全体概況のとらえ方に微妙な差がある。だから、自分にとっての入試全体概況は、自分がそれぞれの見方を比較することで、オリジナルな概況を感じ取ることができる。ひとつの塾の見方を鵜呑みにすることは偏った情報収集になるおそれもあり、比較することで、自分の判断軸ができる

2.塾にはそれぞれ個性がある。その個性も、比較対象がないと優先順位のつけようがない。だから、比較対象を得ることで、それぞれの塾の個性を判断し、自分の子どもを通わせる塾を検討することができる

3.入試報告会で3つの塾が共通して重要視するポイントがある。これは本当に重要なポイントであり、来年度受験をする場合は、そのポイントを外すことはできない。このように受験対策をするうえで、どのように濃淡をつけ準備するかは、比較対象があって初めて明らかになる

ポーターの基本戦略から塾を分析すると…

ビジネスの最前線で企業の経営戦略やマーケティング戦略を考える立場にある方は、ポーターの基本戦略をご存じだろう。米国ハーバード大学経営大学院で教鞭をとるマイケル・ポーター教授の提唱する戦略オプションで、企業の採りうる戦略には、コストリーダーシップ、差別化、集中があるとされる。

今回の3塾をポーターの基本戦略に当てはめて考えると以下のようになる。

SAPIX=コストリーダーシップ

早稲田アカデミー=差別化

エクタス=集中

SAPIXは本来、東京御三家+筑波大学附属駒場に圧倒的な強さを持つ塾だが、関東で上位校を狙う場合は必ず選択肢に入る。したがって、裾野も非常に広い。関東の上位校を網羅し、市場全体をターゲットとしているといえる。サービスは標準化され、どの校舎で受講しても高いレベルの講義を受けることができる。市場全体をターゲットとし、サービスの標準化を図り、高いシェアで勝負するのが、コストリーダーシップの特徴だ。

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