――沖縄の仲井眞知事の姿勢に何らかの変化はありますか。防衛省の一部の幹部は、仲井眞知事が自民党員であることから、辺野古案を受け入れるのではないかと見ています。
私は、仲井眞知事は安倍政権と良好な関係を維持しようとしていて、中央政府の構想を頭ごなしに拒絶することは、賢明にも控えているとみている。
しかし、だからと言って、知事に現時点で辺野古案を受け入れる覚悟がある、とは言えないと思う。知事は慎重な姿勢をとっていて、今回の合意の影響を受けることになる地域の人々がどう考えるかを見極める必要がある、と明言している。
――防衛省と官邸は、名護市議会で過半数を獲得することにより、(辺野古案に反対する)稲嶺進名護市長を打ち負かそうとしているように思えます。
名護市議会の過半数の支持獲得は、防衛省および官邸にとって大きな目標だ。しかしカギとなるのは、辺野古案に強く反対してきた稲嶺市長が2014年の市長選挙で再選されるかどうかだ。
――辺野古住民と、沖縄の他の地域の住民の間で、辺野古案に対する意見に違いはありますか。
辺野古湾に最も近い地域には、これまで巨額のカネが流れ込んできた。そのため、これらの地域では、普天間代替施設建設計画を支持する傾向がみられる。
一方で名護市の中でも辺野古湾から遠い地域では、計画に反対する傾向がみられる。そして沖縄県内のほかの地域では、辺野古案に対する人々の反対は、いまだにかなり根強い。
――安倍政権はこれらの問題にどう対処するのでしょうか。
安倍政権は、財政援助に加えて、開発に適した地域の米軍基地を将来的に閉鎖すると約束することで、保守派の県民の心をつかもうとしている。念頭に置いているのは、開発に前向きで、日米安全保障同盟を支持する傾向の強い人たちだ。
しかし残念なことに、今回の合意は断片的なアプローチをとる傾向がみられるため、こういった沖縄県民に大きな影響を与える可能性は低い。
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