海兵隊の沖縄駐留は、大幅に削減できる マイク・モチヅキ教授が語る、沖縄基地問題

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経済面では好スタートを切った安倍政権。基地問題など外交面が今後の課題となる(撮影:尾形文繁)
4月5日、日米政府は、沖縄県の米軍嘉手納基地以南の施設・区域の統合計画に合意。米軍普天間基地の返還時期を「2022年以降」とする方針を示した。この合意が持つ意味とは何か。安倍政権は沖縄問題にどう対処すべきなのか。日米関係や沖縄基地問題に詳しい、ジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ教授に聞いた。

本物の「ブレークスルー」とは言えない

――今回の合意をどう評価しますか。

これは日米両国政府による窮余の一策だ。その狙いは、普天間飛行場の代替施設を辺野古湾に建設する計画の実現に向けて、基地にまつわる沖縄の政治状況に変化をもたらすことにある。

――今回の合意が、本物のブレークスルーになるとは言えませんか。

その答えは「本物のブレークスルー」をどう定義するかによる。

この合意が沖縄における現状の政治力学に根本的な変化をもたらす、という意味で「ブレークスルー」という語を使うなら、今回の合意は「ブレークスルー」とは言えないと思う。

またこの合意は、沖縄の人々が長年にわたり要求し続けてきた、嘉手納空軍基地以南の米軍施設返還に向けたタイムテーブルを、大幅に加速させることを意味するものでもない。

――日本政府は、財政援助によって沖縄を抱き込もうとしているように見えます。この戦術は機能するのでしょうか。

沖縄はもちろん、開発推進を目的とした中央政府からの財政援助を歓迎する。しかし財政援助は必ずしも、沖縄県民が県内に新たな海兵隊飛行場の建設を容認しようと前向きになることにはつながらない。

日米両国政府は、普天間飛行場の返還に加えて嘉手納以南の施設の返還に向けた姿勢を、再度明確に示すことによって、沖縄の世論の方向を変えようとしているのだと思う。鳩山由紀夫元首相の辞任後は、沖縄のすべての市町村の政治リーダーたちが、普天間の代替施設を辺野古に建設する計画に反対を表明してきた。この点では、保守派と進歩派に違いはない。

こういった状況にあって、安倍政権としては、現在の普天間基地移転計画に、少なくとも沖縄の保守派の人々の支持を取り付けたいところだ。ところが、沖縄の人たちがこの合意を注意深く読み、米軍基地返還の条件や推定される日程を検討してみると、歓迎すべき点はほとんどない。

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