――北朝鮮との緊張はこの問題に何らかの影響を及ぼしますか。
北朝鮮との緊張、および尖閣諸島をめぐる中国との緊張によって、沖縄の一部の人々の間では、日米同盟に対する支持が高まっているかもしれない。しかしこれは必ずしも、この人たちが辺野古案容認に傾くことを意味するものではない。
むしろ多くの沖縄県民から聞こえてきそうなのは、米軍が日本の安全保障にとってそれほど重要であるなら、ほかの都道府県はなぜ米軍基地の受け入れに声を挙げないのか、という疑問の声だ。
――今回の合意では、普天間基地返還は2022年以降と明記されました。
2022年を目標の期日としたことに、沖縄県民は失望し、うんざりしたことだろう。
振り返ってみると、当初の1996年の合意では、普天間の返還を2001年から2003年の間に実現するという目標を掲げていた。今回の合意が目標とした2022年は、当初目標からすると、少なくとも19年遅れることになる。19年といえばまるまる1世代だ。
さらに今回の合意は、「遅くても」2022年に普天間基地を返還する、と宣言しているのではなく、「2022年またはそれ以降」と言っているにすぎない。したがって、2022年という目標は達成されない可能性が高い。
――沖縄の海兵隊の大部分をグアムに移す計画は、費用の問題などで暗礁に乗り上げています。グアム移設案が実現しないとすれば、米軍再編問題をどう進めればいいのでしょうか。
それはよい質問だ。だが私とブルッキングズ研究所のマイケル・オハンロンなら、その問いに答えることができる。
私たちは、海兵隊を米国本土の基地に移転させることを提案する。米国は、装備・機材を日本およびその周辺地域に事前配備していれば、緊急事態発生時に海兵隊をこの地域に容易かつ迅速に呼び戻すことができる。また、海兵隊はローテーション配置という方法で通常の地域プレゼンスを維持することができる。
もし沖縄が2万人の海兵隊の恒久的な受け入れに前向きだったならば、駐留には戦略的利点があると認めてもよかろう。しかし現実はそうではない。そうすると、海兵隊の駐留が日米同盟に与える政治的緊張を認めないわけにはいかない。
また、普天間の海兵隊飛行場が都市の密集地に存在していることで、悲劇的な事故が起こる可能性は高まる。万が一そのような惨劇が起これば、日米同盟に壊滅的な悪影響が及ぶ。嘉手納空軍基地のような、より重要度の高い施設の受け入れについて、沖縄で支持を維持するのは、戦略的に極めて重要だ。
私は、海兵隊を沖縄から完全に撤退させるべきだと主張しているのではない。ただ私は、米国がアジア太平洋地域で果たす安全保障上の役割を損なうことなく、海兵隊の沖縄駐留を大幅削減することは可能だ、と確信している。
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