クラウドのカリスマが描く「未来の働き方」 BOXアーロン・レヴィCEOの次の戦略とは?

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ここから、Boxのエンタープライズ市場での成功の背景を読み取ることができる。Boxは当初の個人向けから企業向けへと「ピボット」(方針転換)を行った。

しかしレヴィ氏の話からは、個人向けのサービスを作る情熱で、企業向けの製品を開発している様子がうかがえる。この点が、エンタープライズ市場における大きな差別化を作り出すことになったと考えている。

未来を判断する力に長けているとも言われるレヴィ氏が、これから先の働き方のためにいかにテクノロジーを活用するか、聞いてみた。

Boxでは、データが1箇所にある未来を前提にして、「コラボレーション」「セキュリティ管理」、そして「機械学習」「人工知能」といった技術についても、積極的に開発に取り入れている。

「データが1箇所にあれば、セキュリティの管理はよりシンプルになり、また、誰がいつ、どんなデータを必要としたかを記録することもできます。こうした情報が組織のクラウドに蓄積されることで、次に必要なデータを、AIが自動的に用意してくれる、そんなテクノロジーを実現することもできるでしょう」(レヴィ氏)

最新のテクノロジーを組織内で活用する際には、技術への対応が早いひとつのクラウドプラットホーム上に統合しているべきであり、そのパートナーとなりえるのがBoxだ、とレヴィ氏は胸を張る。

今後、Boxに対して、コンピュータビジョン(コンテンツ認識)や人工知能を用いることも、すべてのゴールは人々の働き方の変革に集約されている。

効率的な働き方を手に入れる方法

日本には年に1~2度訪れるというレヴィ氏。Boxの日本市場での展開について聞いてみると、「世界と比較して、大きな差はない」と指摘する。

「日本でもBoxのチームを作り、パートナーシップを組み、データを日本に保存する仕組みを作り上げました。よいテクノロジーが、スピード、コラボレーション性、効率性を高め、働き方を変える。そんなメッセージを情熱を持って伝えているところです。日本は、ビジネスやテクノロジーに対して、保守的ではないと思います。保守的ではない企業が、働き方の変革に成功しています。

米国では、スマートフォンが主たるデバイスとなり、これをいかにポジティブに受け入れるかで、仕事の効率が大幅に向上する、モバイルのイノベーションを経験しています。その点で、日本には信じられないほどの可能性があると思います」(レヴィ氏)

古びた仕組みの上で働いていることへのストレスは「日本だけの問題ではない」という。いかにして、より快適で効率的な働き方を手に入れるか。
30歳のアーロン・レヴィ氏は、日本の同世代へのメッセージを次のように述べた。

「ぜひ、Boxを使って下さい。もしそれがかなわないのであれば、組織と戦い続けるべきです。おそらく、たくさんのルールやポリシー、そして打破しがたいしがらみもあるでしょう。しかし、それに縛られているのは、あなた方の生産性なのです。よく議論して、時には戦って、スピード、オープンさ、コラボレーションを訴え続けていく。そうした組織内の変化が、企業の変革を推し進めることになるのです」(レヴィ氏)

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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