クラウドのカリスマが描く「未来の働き方」 BOXアーロン・レヴィCEOの次の戦略とは?

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30歳のBox共同創業者兼CEO、アーロン・レヴィ氏(著者撮影)

ビジネス向けクラウドストレージ企業Box(ボックス)は、サンフランシスコ市内で顧客向けイベント「BoxWorks 2016」を9月7日に開催した。
これに先立ち、Boxの共同創業者兼CEO、アーロン・レヴィ氏にインタビューを行った。日本で働く若い社会人に対する、強烈なメッセージを投げかけたことが印象的だった。

Boxは、ビジネス向けに特化する方針転換を経て、2015年1月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した企業だ。アーロン・レヴィ氏は、南カリフォルニア大学の学生寮で創業したこの会社を、非常に素早く公開企業へと成長させた。

同氏は、「テクノロジーによる変革は10年に1度訪れる」という考えを述べ、そのチャンスをものにするあらゆることを素早く行ってきたという。直近のイベントでは、こうして作り上げてきたサービスへの自信をのぞかせる一幕があった。

BoxWorks 2016では、同じくクラウドストレージを持つグーグルとの連携を発表し、Google Appsを導入している企業がグーグル上で作成したドキュメントをBoxで管理する、といった作業をしやすくした。

どうしてこんなことができるのか? BoxとGoogle Appsをつないでしまうと、BoxからGoogle Driveへ、顧客が逃げてしまわないのか? そんな疑念は一蹴されることになる。

筆者も同意するところだが、Boxのユーザー体験は、グーグルのそれよりも圧倒的によい。もし少しでも、企業内の生産性のことを考えるのであれば、Boxへの投資をやめるべきではない、と直感的に判断できる。

そうしたBoxの自信と、Google Apps for Businessのオープン化戦略が、今回の提携を実現したと考えてよいだろう。

働き方の変革に足りなかったものとは

レヴィ氏は、Boxのミッションについて、繰り返し、こう説明する。

「Boxに対するすべての情熱は、人々や組織の働き方を変革することです。未来のワークスタイルとは何か? 人々や企業は、どのようにして働くのか。これをイメージして、日々、製品を作っています。

そもそも、12年前にBoxが生まれたきっかけは、自分が抱いていたフラストレーションがきっかけでした。どうしてインターネットのサービスは、もっとシンプルにならないのか? そのため、Boxは、信じられないほどシンプルでデザインに優れた体験を実現しています。

個人向けのサービスやデバイスは、自分のものですから、気に入ったもの、機能やデザインが最も優れているものを選ぶでしょう。しかし企業向けの製品はそうではありませんでした。

日本人も、仕事で使うサービスのデザインについて、疑問を抱くべきです。世界中のコンピュータ市場は、デザインの悪いものを生み出し続けてきました。しかし、それは間違いであることに、気づき始めています。

日本の文化はシンプルで美しく、効率的であることは私も知っています。エンタープライズ向けのソフトウエアでもそれを取り入れるべきだし、人々は、より素早く効率的に働くことに集中して、サービスを選ぶべきです」(レヴィ氏)

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