「水道哲学」の真意、松下幸之助はこう語った

経営の神様が問わず語りに語ったこと

会社でもそうやな。従業員に、いろいろな人がいないとあかんわけや。同じ人ばかりでは、全体として面白くない。それに会社としても強くなれん

経営をしておると、さまざまな問題が出てくるんや。そのさまざまな問題に対応するのに、一種類だけの人では対応出来んがな。いろいろな人がおると、まあ、この問題は、あんた、やってくれ、この問題は、君なら出来るから、やってくれ、とそういうことが出来るわな。それで会社は強くなるんや。昔話で「桃太郎」というのがあるやろ。サルとキジと犬か。みんな違うわね。違うから、それぞれの役割が生まれ、違うからよかった。鬼退治が出来たわけやね。

会社にはさまざまな個性が必要

だからな、会社には、いろんな人がおらんとな。まあ、個性を持ったというか、特徴を持ったというか、そういう人の集まりにすることが大事と言えるね。個性豊かな社員たちを、どう活用していくか、これが経営者の腕の見せどころというわけや。

そこで、そんなに個性的な人を集め、それぞれに存分に働いてもらうことが大事ならば、さっきわしが言った方針というようなものは、いらんのと違うかと。そういうことを言う人もおるかもしれんな。方針があったら、個性を発揮出来ません、特徴を出すことが出来ませんというかも知れん。しかし実際には決してそんなことはないわけや。

だいたい、会社というのは、ひとつの目的を持って組織されておるんやから、当然ながら、その方向に進んで行くための枠組みというものがあるんや。だから個性を発揮するといっても、その方向で発揮するということになるわね。けど個性というものは、もともとひとつの、まあ、いわば拘束というものがないと発揮できんのや。非常に矛盾したことを言うようやけど、個性は拘束なくしてありえない。そういうことや。

大工さんの道具箱でもそうやね。大工道具というひとつの方向があって、それで道具は、さまざまだと。カンナもあればトンカチもある。ノコギリもあればノミもあるというようにね。それぞれに個性を主張しとるわね。また、女の人の首飾り、考えてもわかるわな。その、ひとつひとつの玉は独立して、個性を発揮しとるけれど、それならば、それだけで首飾りになるかと言えば、ばらばらで、首飾りとは言えんわな。その、個々の玉に一本の糸が通っておるから、それではじめて首飾りになるんやろ。

その糸が、会社でいえば経営方針であり、基本理念であり、と言うことになるんや。会社に経営理念があって、それが金太郎飴のようにビシッと一本、従業員の中に通っておらんと、いかんのやな。基本のところで筋が通っていながら、いや、だからこそ個性を発揮出来る余地が生まれてくる。

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