「水道哲学」の真意、松下幸之助はこう語った 経営の神様が問わず語りに語ったこと

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個性は拘束なくしてありえない。そういうことや
江口克彦氏のベストセラー『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げた。本連載は、この『経営秘伝』をベースにしている。「経営の神様」の問わず語りは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

 

向こうの、あの高い杉と杉の間から、南禅寺の山門がみえるのがええな。秋になると落ち葉をたく煙が一筋、すっと空に昇る景色は、まさに一幅の絵やね。いまでもね、きみ、あそこに山門の屋根が見えなかったら、この庭の景色も、これほどよくはならんかもしれん。まあ、本来ならば、南禅寺さんに使用料を払わんといかんところや。

あの屋根にあがって、石川五右衛門という大泥棒が、京の町を眺めながら、絶景かな、絶景かなと言ったと言われているけど、実際は違うらしいな。けどまあ、それほど有名な山門や、タダで使わせてもらっとることになるけど、ええやろ。ハハハ。

生産者の使命とは?

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さっき言った生産者の使命ということな、いわば水道の水のように、「いい物を、安く、たくさんつくる」ということは、いつの時代でも大事なことやで。

このごろ、日本は物が豊かになったから、そういうことは、もう考えないでいいのではないか、ということをいう人も出てくるかもしれんが、もし、そういうふうに考える人が出てくるとすれば、その人はその生産者の使命について、よう考えておらん人やな。

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