政府が国債を発行して株や土地を買うことに対しては、損失が生じれば国民が税金で負担しなくてはならないという批判もある。一方、日銀が土地や株を購入することには、国民にはほとんど負担感がない。財政政策は最終的に国債償還のための増税という負担を発生させるが、金融政策なら国民には負担が生じないように考えている人が多い。地価や株価が下落しなければどちらにせよ国民の負担はないが、仮に下落しても国債の元利支払いが必要な政府と異なり、中央銀行が購入するなら負担が生じないように見えるからだ。
しかし、物価上昇が起こって金融引き締めが必要なった際には、日本銀行は保有している資産を売却してマネーを吸収する必要が生じる。この時に売却損が出て日銀から国への国庫納付金が大幅に減少し、財政収入が減少するという間接的な国民負担が生じる恐れが大きい。
「世の中にはタダというものはない」ということは、経済学を勉強すると最初に習うことだ。政策のコストが理解されているなら良いが、国民の間に無から有が生み出せるかのような錯覚があるとすれば、将来の大きな誤算に繋がる恐れが大きい。
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