異次元金融緩和で、国民負担生じる恐れも あいまいになる、財政政策と金融政策の境界

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そういう意味ではリフレ派の主張は正しいだろうが、どれくらいマネタリーベースやマネーストックを増やせば効果が出るのか予想できない。また、物価が上昇し始めたときに経済を混乱させずに安定化できるかという出口問題など、様々な副作用の懸念がある。この点については、いずれ改めて論じたい。

マネーストックを増やす3つの方法

企業や家計の物価に対する見方が簡単には変わらなくても、手元資金が支出金額に対して異常に多くなるということは考え難い。どんどんマネーストックが増えていけば、どこかで企業や消費者の支出が増えて、日本経済全体の需給が引き締まり物価上昇が始まるはずだ。

マネーストックの名目GDPに対する比率は、1990年度の約1.1倍から2012年度には1.8倍近くに高まったとみられるが、この比率をどこまで上昇させれば効果が出るのか、どうやってそれだけマネーストックを増やすのかが問題だ。

マネーストックとは、銀行を除く一般の法人、個人、地方公共団体などが保有する通貨の量のことだ。対象となる法人企業や個人などのマネーストックを保有する対象を全部集めた部門(以下では「保有部門」と呼ぼう)の貸借対照表(バランスシート)を作って考えると(右図)、マネーストックを増やすには、保有部門に対して、1)お金を貸す、2)お金を配る、3)何か買ってお金を払う、という3つの方法があることが分かる。

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