黒田日銀が導く「異次元の低金利」 市場動向を読む(債券・金利)

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2012年度末の長期金利は3月28日に0.510%まで急低下し、2003年6月11日に記録した過去最低の0.430%を射程内にとらえた。日銀の黒田東彦新総裁が同月21日の就任会見で、下記のように「異次元の大胆緩和」の断行を改めて宣言したことが相場材料になった。

0%台の低金利、債券バブルが常態化

債券市場では需給相場の思惑、すなわち『長期国債の無期限・無制限購入という社会実験が始まれば、需給はかなり引き締まるだろう』という見方が強まる一方、根強かった高値警戒感がじわり後退。利回りの水準が比較的高く、低下余地が残っている超長期債を中心に債券投資を拡大する動きが広がった。その結果、国債の利回り曲線は超長期債主導で一段と平坦化し、長期金利に強い低下圧力をかけたのだ。

黒田日銀新総裁の3・21就任会見のポイント
・質的、量的両面から大胆な金融緩和を進めていく。できることは何でもやる
・金融緩和手段として国債購入は当然。銀行券ルールにこだわらない
・イールドカーブ全体を引き下げる
・金融緩和からの出口を検討するのは時期尚早

こうして新年度の長期金利は、0.50%台という歴史的な低レベルで幕を開けることになった。振り返ってみると、12年度の長期金利はちょうど1年前の4月6日に心理的な節目の1.0%を割り込んだ。以来、0%台での滞在期間は連続241営業日に達している(12年度末現在)。0%台という債券バブル的な「異次元の低金利」が、いつの間にか常態、すなわち当たり前の水準としてすっかり定着している。ちなみに、長期金利の昨年度・年間の変動レンジは「0.510%(3月28日)~1.050%(4月4日)」だった。

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