債券相場と為替・株式相場の矛盾は長期化

市場動向を読む(債券・金利)

さあ、いよいよ黒田日銀のスタートである。「大胆な金融緩和」、「異次元の金融緩和」が始まることへの期待は、為替、株式市場において特に強い。一般的な理解として、「金融緩和→インフレ期待の上昇→消費、投資の喚起→実際のインフレ率上昇→通貨減価、株価上昇」というパスが想定されているからである。

ただし、現状では、このパスの途中は省いて、「インフレ期待の上昇」からいきなり「通貨減価、株価上昇」につながっている。もちろん、通貨も株価もその価格形成は将来期待によって成り立っているわけであり、最終的に織り込まれるべき将来は、「ファンダメンタルズ」である。ここで言う「ファンダメンタルズ」とは、実現する「インフレ率」である。

インフレ期待で実際のインフレ率2%達成は不可能

ここで、2つの論点が提起され得る。1つは、仮に「インフレ期待の上昇」が起こっているとして、それが本当に「消費や投資の喚起」を通じて実際のインフレ率を押し上げ得るものなのかどうか。そして、最終的にCPI(消費者物価)上昇率の2%といった数字を実現するだけのインパクトがあるのかどうか、という点である。そして、2つめは、そもそも計測の難しい「インフレ期待」なるものが本当に上昇しているのかどうか、という点である。

まず2つめの論点の方から言うと、金融市場における「インフレ期待」と現実経済における「インフレ期待」は必ずしも一致しないという問題がある。物価連動債が示す「インフレ期待の上昇」については日銀の岩田規久男新副総裁も指摘しているところだが、物価連動債の主たる投資家が現状では主に海外のヘッジファンドであるという点に留意する必要がある。

物価連動債への投資は、「金融緩和でインフレ期待は上昇するはずであり、円安や株価上昇と同様に物価連動債の価格も上昇するはずである」と考えて行われる「投機」の性質が強い。それは、現実経済における家計や企業の「インフレ期待」はあまり反映していない可能性が高い。

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