債券相場と為替・株式相場の矛盾は長期化

市場動向を読む(債券・金利)

それは、「投機」の特質として、ケインズの言うところの「美人投票」の性格が強いことに大きな要因があると考えられる。現代の市場においては、「金融緩和→インフレ率上昇」という「予想」に「美人投票」の一致を見る環境が存在する。

というのは、グローバルな金融市場においては、フリードマンに始まる新自由主義の経済学の系譜が多くの支持を得ており、「市場絶対主義」、「貨幣数量説」というドグマへのナイーブかつ無批判な信仰が根強い。そのため、「多くの市場参加者がそれを信じるであろう」という前提の下で、「金融緩和→インフレ期待上昇」という「投機」が行われるのである。

もちろん、「美人投票」の結果ではあっても、市場の変動が実体経済にある程度フィードバックする側面もある。実際、昨年11月以降の円安、株高は今後数四半期にわたってCPI上昇率の押し上げ要因として働くはずである。

しかし、市場の力だけでCPI上昇率を2%まで押し上げることは、ファンダメンタルズの冷静な議論からすれば不可能である。その現実が冷静に認識され始める時、「美人投票」での意見一致にも疑問が呈されることになるかもしれない。

それでもなお、日銀が「美人投票」への一致した投票行動を促そうとするのであれば、「金融緩和」を歯止めなく強化して行くしかないだろう。そうすることによって、金融市場の「投機」を途切れることなく促し続けなくてはならない。

国債市場の参加者は貨幣数量説を信奉していない

最近、「JGB(日本国債)市場はなぜ為替や株式市場のようにインフレ期待の上昇を織り込まないのか」という質問を多く受ける。それに対するシンプルな答えは、JGB市場の参加者は、グローバルな金融市場の標準的なサンプルと比較して「新自由主義」や「貨幣数量説」のあまりナイーブな信奉者ではないから、ということである。

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