黒田日銀が導く「異次元の低金利」

市場動向を読む(債券・金利)

一方、「資金運用部ショック」の経験によれば、需給相場を演出している張本人の突然の退場リスクを忘れ去らないということが教訓と言える。需給逼迫を与件と思い込んでいると、その分、より大きなショックを受け、パニック的な損切り売りへと奔走しかねない。

日銀は国債需給のラストリゾートとして君臨を続ける

しかし、今次局面にはこれら過去事例と決定的に異なっている点がある。黒田日銀が国債需給のラストリゾートとして債券市場に“君臨”して行くと見込まれる点である。黒田日銀は「インフレ目標2%(消費者物価指数)」を達成するまで、マネタリー・ベースの残高を積み上げて期待に働きかけるべく、長期国債や場合によっては超長期国債も無期限・無制限に購入し続ける可能性を示唆している。

債券市場は、財政ファイナンス懸念や財政インフレ期待が生じない限り、絶大なる買い安心感を抱いて行くだろう。とすると、高値警戒感のトリガーとなる需給悪化懸念が浮上する余地はほとんどなさそうだ。ヘッジ売りや持ち高調整売りが出てくる場面でも、黒田日銀がそれを難なく吸収するから、「売りが売りを呼ぶ展開」の芽は未然に摘み取られるだろう。

こう考えると、今般の「異次元の大胆緩和」による債券バブル的な「異次元の低金利」は、すぐに崩壊という大事には至りそうになく、むしろ、脱デフレが捗々しくないなかで案外長引いていくと言えそうだ。債券市場は単なる需給相場から、いわば“超・需給相場”という未踏の領域に突入しつつあるのかもしれない。

マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 夢を諦めない「脱会社員の選択」
  • フランスから日本を語る
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • この新車、買うならどのグレード?
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
統合から20年どこでつまずい<br>たのか みずほ 解けない呪縛

みずほ銀行が相次ぐシステム障害で窮地に陥っています。その根底には、3行統合から今に至るまで解決できていない呪縛と宿痾が。本特集ではみずほが抱える問題点をガバナンス面や営業面などから総ざらい。みずほは立ち直ることができるのでしょうか。

東洋経済education×ICT