黒田日銀が導く「異次元の低金利」 市場動向を読む(債券・金利)
一方、「資金運用部ショック」の経験によれば、需給相場を演出している張本人の突然の退場リスクを忘れ去らないということが教訓と言える。需給逼迫を与件と思い込んでいると、その分、より大きなショックを受け、パニック的な損切り売りへと奔走しかねない。
日銀は国債需給のラストリゾートとして君臨を続ける
しかし、今次局面にはこれら過去事例と決定的に異なっている点がある。黒田日銀が国債需給のラストリゾートとして債券市場に“君臨”して行くと見込まれる点である。黒田日銀は「インフレ目標2%(消費者物価指数)」を達成するまで、マネタリー・ベースの残高を積み上げて期待に働きかけるべく、長期国債や場合によっては超長期国債も無期限・無制限に購入し続ける可能性を示唆している。
債券市場は、財政ファイナンス懸念や財政インフレ期待が生じない限り、絶大なる買い安心感を抱いて行くだろう。とすると、高値警戒感のトリガーとなる需給悪化懸念が浮上する余地はほとんどなさそうだ。ヘッジ売りや持ち高調整売りが出てくる場面でも、黒田日銀がそれを難なく吸収するから、「売りが売りを呼ぶ展開」の芽は未然に摘み取られるだろう。
こう考えると、今般の「異次元の大胆緩和」による債券バブル的な「異次元の低金利」は、すぐに崩壊という大事には至りそうになく、むしろ、脱デフレが捗々しくないなかで案外長引いていくと言えそうだ。債券市場は単なる需給相場から、いわば“超・需給相場”という未踏の領域に突入しつつあるのかもしれない。
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