黒田日銀が導く「異次元の低金利」

市場動向を読む(債券・金利)

1998年末に起きた「資金運用部ショック」と称される債券バブル崩壊も同様の図式だった。そもそもの発端は、同年11月20日に大蔵省(現・財務省)が同年度第3次補正予算で増発する国債12.5兆円のうち10兆円以上を市中発行する方針を発表したこと。それをきっかけに需給悪化懸念と高値警戒感が強まり、需給相場は自壊過程へと突入した。

折悪しく12月22日、大蔵省・資金運用部が財政投融資計画の余資運用の一環で実施していた国債買い切りオペを、購入資金を景気対策の方に回すためとして打ち切りを表明。

当時の同オペは月に1000億円程度と必ずしも大きな金額ではなかったが、金融危機(97年秋~)を背景とした「質への逃避」による需給相場の象徴的な存在だっただけに、需給の先行きに対する不安感がいっそう助長された。需給懸念と高値警戒感が「売りが売りを呼ぶ展開」に拍車をかけた結果、0.80%台で保合っていた長期金利は11月下旬より忽然と上昇し始め、翌年2月初旬には2.40%台まで急騰したのだった。

債券バブル崩壊の歴史をこのように総括してみると、今般の「異次元の大胆緩和」による「異次元の低金利」局面においても、高値警戒感を呼び覚ます需給悪化懸念の胎動には細心の注意を払っていく必要があることがわかる。

いったん状況が変われば売りが売りを呼ぶパニックに

「VaRショック」の経験によれば、ほぼ毎週実施される利付国債入札が鬼門だろう。落札結果が低調と評価される、すなわち結果を巡る期待と実際の落差が大きいと、「需給は、実はそれほど良くないのではないか」という疑心暗鬼がにわかに広がり、高値覚えの債券市場を覚醒させる。そして投資家にヘッジ売りや持ち高調整売りを急がせ、「売りが売りを呼ぶ相場展開」を招くことになる。

次ページ過去の状況との違いは、売りを吸収し続けるであろう日銀
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